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著書「仕事と日常を磨く人間力マネジメント」の読書ナビ

271:十五年前の詩

2018-10-20 | 小説「町おこしの賦」
271:十五年前の詩
―『町おこしの賦』第8部:業績格差は人災34
 早朝、玄関のチャイムが鳴った。詩織が出ると、恭二の兄・恭一だった。
「詩織ちゃん、ピアノ弾けるよね」
 恭一はそういって、一枚の紙片を渡した。
「これ、恭二が標高の卒業文集に載せた詩だ。曲をつけてやると預かっていて、ずっと忘れてた。
やっと曲ができたので、置いて行く。今日はこれから診察があるので、恭二にも聴かせてあげて」

 寝室から出てきた恭二は、詩織から紙片を受け取った。五線の川に、おたまじゃくしが泳いでいた。
「おれが卒業文集に書いた、詩じゃないか」
「お兄さん、曲をつけるの忘れていたんだって」
恭二自身も、完全に忘れていたものである。
「詩織、これピアノで、弾いてくれないか」
「いいわよ」
 詩織はピアノの前に座り、歌いながら鍵盤を叩いた。
「恭二、すてきな曲になっている」
「感動しちゃうな。忘れていた大切な友だちに出会った感じだ」
「恭二、歌ってごらん」 

軍馬山
――春は桜の薄化粧/いかすピンクの軍馬山/標高(しべこう)の誇りだ我らのものだ/桜の花びら頭(かざし)に乗せて/友と叫ぼう/標茶町ヤッホー
――夏はセミの大合唱/いきなムードの軍馬山/標高の誇りだ我らのものだ/夏の太陽頭(かざし)に受けて/友と歌おう/標茶町ヤッホー
――秋は実りの植物園/しゃれたセンスの軍馬山/標高の誇りだ我らのものだ/秋のそよ風頬に受けて/友と歩こう/標茶町ヤッホー
――冬は雪の美術館/凛(りん)とたたずむ軍馬山/標高の誇りだ我らのものだ/冬の粉雪頭(かざし)に乗せて/友と語ろう/標茶町ヤッホー

「このころは、おれもピュアだった。詩織の胸もまだ小さくて、左の頬にえくぼもあった」
「いやね、変なことと結びつけないで」
「おれね、詩織と一緒に軍馬山へ、行っている場面を想像しながら書いた」
「お兄さん、曲作りはプロ並みだものね」
「うん、いい曲になっている。詩織、明日軍馬山を歩いてみたい。歩きながら、一緒に大声で歌ってみよう」

012cut:意識と行動を変える

2018-10-20 | 完全版シナリオ「ビリーの挑戦」
012cut:意識と行動を変える
――02 scene:2つの約束
影野小枝 釧路営業所の昼時です。少しだけ漆原さんに質問させていただきますね。
影野 いよいよ新しい生活がはじまりましたね。いかがですか?
漆原 まずは、メンバーの意識と行動を変えることからはじめます。
影野 意識と行動ですか?
漆原 そうです。意識と行動が変われば、業績は自然についてきます。
影野 具体的には、どうするのですか?
漆原 意識と行動は、命令では変わりません。またすぐに変化するものでもありません。しかし気長に接して、彼らの意識と行動を変えるのが、営業リーダーの大切な役割だと思います。
影野 そのために、何をなさるのですか?
漆原 彼らに問いかけ、彼ら自身が考える。これを繰り返すしか方法はありません。
影野 ところで漆原さん、ここには事務員がいないのですか?
漆原 当社の営業所には、一切事務員はおりません。だから営業リーダーは、事務員を兼務しているわけです。
影野 ということは、荷物の出し入れや電話番も営業リーダーの方がやっているわけですよね。
漆原 そうです。
影野 それって、営業リーダーが部下と現場同行をする阻害要因になりませんか?
漆原 私の前任者はそれを理由に、あまり同行をしていませんでした。やっぱり、意識の違いだろうと思います。
影野 漆原さんはたくさんの雑用をどう整理して、現場同行を実現するのでしょうか?

018:知を磨くための方法

2018-10-20 | 銀塾・知だらけの学習塾
018:知を磨くための方法
知を磨くための、2つの方法を確認しておきます。

【知を磨くための方法】
・良書を読む
・優れた人と交わる

読書には説明がいらないと思います。本はゆっくりと、メモを取りながら読むこと。本のなかから師を見出すこと。それは4つの知財(知的資産)のなかの「人財資産」となります。

塾長は野中郁次郎、梅棹忠夫、川喜田二郎、西堀栄三郎、花村太郎などの各先生を勝手に師と仰いでいます。お会いしたことがあるのは、野中先生だけです。あとの方々は、書物だけとのおつきあいです。

書物の師が優れている点は、アポなしでいつでも、どこでもお会いできることです。野中郁次郎先生の著作はむさぼり読みましたし、先生の教室で講義までさせていただいています。塾長の今日あるのは、野中先生から学んだナレッジマネジメントのおかげです。読書の効用については、別途詳しく紹介させていただきます。
 
仕事期のときの塾長は、部下を外部セミナーや講演会に行かせていました。塾長はセミナーに行かせた部下にレポートなどは書かせません。とにかく何枚の名刺を集めてきたか、だけを報告してもらっていました。
 セミナーや講演会に集る人は、プログラムに関心を持った人ばかりです。同じニーズを持った人と名刺交換すると、その後に大いに活用できます。メールで問い合わせたり、電話で質問したり、会社まで出向いて面談したりがいとも簡単にできます。

 老齢期の塾生の場合は、「優れた人と交わる」機会が極端に少なくなっています。新聞を開くと各種イベントが掲載されています。区役所や図書館に行くとたくさんの貼り紙があります。そのなかに興味をひくものがあったら、積極的に参加しなければなりません。
目的は講師の話よりも、名刺交換にあります。名刺交換した人は、必ず会ってくれます。老齢期になっても、名刺は自作してもらいたいと思います。あるいは携帯電話の番号を教え合うことです。

とりあえずは、1ヶ月に1回は、知的な刺激を受けられる場へと足を運びたいものです。図書館、博物館、美術館、資料館や講演会などが、暖かく迎えてくれます。

妙に知181020:『セールスマンの死』上演

2018-10-20 | 妙に知(明日)の日記
妙に知181020:『セールスマンの死』上演
▼どうしても解けないなぞなぞがありました。――空に4匹飛んでいるのは次のどれでしょうか? ○1蝶 ○2トンボ ○3蛾 (『大人のクイズ』宝島社)わかりますか? 答えは文末にあります。▼アーサー・ミラー『セールスマンの死』(ハヤカワ演劇文庫、倉橋健訳)は、傑作戯曲です。「山本藤光の文庫で読む500+α」で紹介しています。神奈川芸術劇場での上演が決まりました。風間杜夫と片平なぎさが夫婦役となるようです。超おすすめの戯曲ですので、未読の方はぜひこの機会に。▼なぞなぞの解答です。私は銚子(蝶4)や餓死(蛾4)などを思い浮かべましたが、違っていました。以下回答欄の説明です。手がかりは4匹の「4」です。丁半博奕の世界では、偶数は「丁」、奇数は「半」。したがって4は丁。つまり「蝶」というわけです。私はこの解答に納得していません。問題が悪すぎると思います。
山本藤光2018.10.20