北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「人の心に働きかける経済政策(翁邦雄著・岩波新書2022刊)」を読んだ。翁邦雄(おきなくにお1951生れ)氏は、1974東大(経済学部)卒、日本銀行入行、1983シカゴ大学/PhD取得。専攻は国際経済学/金融論。筑波大学(社会工学系)助教授/日銀金融研究所長/京大(公共政策大学院)教授を経て、現在は大妻女子大学教授。-------
この本「人の心に働きかける経済政策」の目次は次の通り。“自己実現的予言(メインストリームの経済学とバブルは折り合いが悪い/正常性バイアス)”、“人はどのように判断/行動しているのか(行動経済学の知見/サンクコストの罠/責任者は深みに嵌る/人間は損失を嫌う/人の心への働きかけ/フレーミングとナッジ/行動経済学的な人間像)”、“マクロ的な社会現象へのフレーミングやナッジ(米中貿易摩擦と日米貿易摩擦/ポジティブなフレーミングの陥穽/中国から見た日米貿易摩擦/非対称的な国際協調の陥穽/日本の移民政策/フレーミングが強める現在バイアス/新三本の矢/日本は高齢化し収縮していくのか/新型コロナ対策/ナッジと社会規範の重要性)”、“メインストリームの経済学の期待への働きかけ(メインストリームのマクロ経済学が考える金融政策の枠組み/物価安定をどう定義すべきか)”、“期待に働きかける金融政策としての異次元緩和(公開市場操作から見た異次元緩和/期待への働きかけの帰結)”、“物価安定と無関心(物価安定のあるべき姿とその達成手段/ニューノーマルを超えて)”--------
この本「人の心に働きかける経済政策」の扉の抜き刷り文は次の通り。感染防止のため行動変容を促す国民の心への働きかけと、デフレ脱却を目的とした人々の期待への働きかけ。この二つの働きかけは背景とする人間観/経済学が違う。行動経済学の成果を主流派のマクロ経済学に加味した政策を行う必要がある。銀行取付/バブル/貿易摩擦/異次元緩和を働きかけ視点から分析する。-------
翁邦雄氏は、学者人生を略(ほぼ)/終えるにあたって、バブル以降の日本経済の低迷をやや自虐的に、後付け的に解説している。数理経済学/理論経済学/行動経済学の学徒ではないので、論じて居られる内容に上滑り感が避けられない気がした。
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