奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その846)

2018-12-18 08:15:00 | 奈良・不比等
北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「戦乱と民衆(磯田道史/倉本一宏/Fクレインス/呉座勇一共著・講談社現代新書2018刊)」を読んだ。磯田道史(いそだみちふみ1970生れ)氏は日文研准教授で近世史を専門とし、“禁門の変”を書き、倉本一宏(くらもとかずひろ1958生れ)氏は日文研教授で古代史を専門とし、“白村江”を書き、Fクレインス(フレデリッククレインス1970生れ)氏は日文研准教授で日欧交渉史を専門とし、“大坂の陣”を書き、呉座勇一(ござゆういち1980生れ)氏は日文研助教で中世史を専門とし、“応仁の乱”を書いている。後半は座談形式で話が盛り上がっている本である。-----
歴史を遡ると戦乱の中を生き延びてきた庶民はどのような災厄を及ぼされてきたのか少し垣間見えるのだが、「戦乱と民衆」はそのようなテーマで語られている。国家の支配者の立場からの視点ではなく、民衆から見た場合はどのように翻弄されたのかといった観点からの論及なのだが、史料が少ない中、想像を交えてではあるが少壮稀代の歴史学者が集まって知恵を披露してくれている。これは歴史学が後世に役立てる可能性を持っている分野であり、民主主義を考える上でとても重要であるというわけである。主権が庶民に下りて来ているのだから、旧態然とした支配者に任せるだけの受け身である必要はなく、庶民も自身の頭で考えよというのであり、その際の参考になるのが歴史的な事象であるわけである。時の支配者に勝手に戦争を始められないようにするには、このような歴史のお勉強も大切なのであると警告が発せられている。日文研(国際日本文化研究センター)の存在意義の一つを世に問うている本となっている。
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