奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その563)

2018-03-10 08:15:00 | 奈良・不比等
「神話と天皇(大山誠一著・平凡社2017刊)」を通読した。大山誠一(おおやませいいち1944生れ)氏は東大国史科卒で、同大学院博士課程満期退学後、大学の非常勤講師を務めた後、中部大学の教授となり、2014年に定年退職している。大山誠一氏は長屋王木簡の研究で有名であり、その後、聖徳太子の実在を否定する研究を発表しており、教科書でも聖徳太子の表記ではなくて厩戸王に変化して来ている。-----
「神話と天皇」では、記紀の編纂の意図を具体的に指摘しながら誰にも分かり易く解説して呉れている。これまでの日本史学者が遠慮をして来た領域についても、明確に指摘をしながら、此れまでの旧態然とした史学会のトンデモ説を一網打尽に論破されているので、ここ10数年に亘って論敵は現れないそうである。略、大山誠一説が史学会も認めざるを得ないものとしてオーソライズされたと考えられる。だからこそ文科省も教科書記述を徐々に聖徳太子から厩戸王に替えており、未だ小学校の教科書では聖徳太子のままであるそうだが、中学・高校の歴史の教科書では聖徳太子の文字は括弧つきで厩戸王(聖徳太子)と表記しているそうである。------
「神話と天皇」の後書には、大山誠一氏の研究を引き継ぐ人が学界に現れても良いのだが、未だ時間が掛かりそうだとも書いている。-----
神話の故郷(ふるさと)の奈良県庁や県内市町村の職員なら「神話と天皇」は確(しっか)りと読んで置く必要があるだろうと思った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする