炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

忘れ得ないことば

2010-03-13 11:42:11 | Weblog
忘れることのできない言葉がある。

東京工業大学の当麻喜弘教授の御退官記念行事、その後の懇親会ではなかったかと思う。
当麻先生は「いまの文明は科学技術の進展をもとに、もたらされている。様々な起源があるとして、その起源が異なっていたら別の科学文明社会となっていたかも知れない」と語りかけられた。この行事は平成6年であったので、すでに16年経過しているが、私にとって忘れられない言葉となっている。

歴史には「もしも・・・」はない。歴史を辿ると、西洋と異なった社会文明として日本での徳川幕府の260年にわたる鎖国時代がある。明治維新とともに当時の科学的な発展による西洋文化を吸収し、大戦の困苦を得て今日にいたっている。

科学の源流が異なっていれば、あるいは違った科学による別の社会が展開したかも知れない。そうであるとすれば、いまの科学的といわれる原理原則、別の視点からすると別の解釈ができる可能性もある。
当麻先生のこの言葉は、私にとって忘れ得ないが、科学にかかわる歴史にも ”if ・・・” はないから、別の原点もあるのではないかとの「こだわり」を持つきっかけになっている。

科学史をたどると、源流はわかる。しかしその源流の分水嶺もどこか別のところにあるかも知れない。
(納)

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