炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

山麓閑話(1)

2008-03-17 17:04:32 | Weblog
昨年夏の話で恐縮だが閑話を一つ。
近くの村に1軒しかない散髪店に出かけた。先客のお婆さんがいて、世間話をしながら髪の手入れをしてもらっている。大分待たされたが、終わって椅子から降りてきたお婆さんは「どうもお待たせしました」と、丁寧に腰を折って挨拶する。思わず、こちらもゆったりした時間の流れに身を任せる気持ちになる。
私の番になったが、ちょきちょきとスローなはさみ使いが心地よい。外は明るい陽光。終わって、店のおかみさん(実はこの人が独りで散髪業を営んでいる)が急に「お宅に胡瓜あるかね」と言う。はじめは何のことか面食らって「あることはありますが」と要領の得ない言い方をしていると「うちでたくさん取れるので持っていかないかね」と重ねて言う。つい垣根を置いてしまう都会人の性癖が出て、「有難うございます。家にはあると思いますので、次の機会にいただきますよ」と言ってしまった。おかみさんは「そうかね」と不服そうな顔をしている。
帰宅して妻にこの話をしたら、どうして素直にいただいてこなかったの、と叱られた。未だに後悔している。(エイモット オリヒソイ)

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