炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

エントロピーとは(13) -熱エネルギーの方向性

2015-05-19 10:59:16 | Weblog
ほとんどの熱科学に関する書物には、熱エネルギーは高い方からから低い方に流れると書かれている。
本当にそうだろうか。
私は摂氏零下数十度という猛烈な冬将軍におそわれた経験があり、寒気が襲いかかった状態を体験したことがある。このとき寒気が流れ込むと感じたものである。必ずしも熱は高きから低きに流れない。実感としては低い熱が高い熱に流れ込むのである。
19世紀の熱に関わった豊かな科学者は、真冬にあっても暖炉の傍で暖かい熱をあびながらパイプのタバコをくゆらせて、羽根ペンを走らせる景色が浮かぶ。庶民の中で暮らした筆者は、この猛烈な冬将軍のもたらす寒気の流れの中に、家族共々体を寄せ合って保温に務めたことがあり、低い熱が流れ込むこともあったと思わざるを得ない。
実際に、熱エネルギーの流れは、必ずしも高きから低きになるといえるのだろうか。
正確には、高い熱エネルギーを持つ物体の量と低い熱エネルギーを持つ物体の量により、熱エネルギーの流れる方向は異なると考えたとしても良さそうである。
熱学の識者は、高い熱エネルギーを低い熱エネルギーが熱の流れとして吸収する現象に過ぎないと答えるであろう。
それならばと問いかけたい。熱以外のエネルギーでは、それが吸収されない場合は反射現象がある。電磁波とか電気などのエネルギーは吸収できない場合は反射があり、運動エネルギーにしても反射現象がある。熱エネルギーには反射が起こるのだろうか、と。

答えが聞こえそうである。
筆者が引用した方丈記には、反射現象のことは書かれていないね、熱エネルギーにも反射現象は存在しないよ、という答えである。

そのように思いながら、夏場に冷蔵庫から冷えたビールを取り出して、喉の渇きを癒すとき、冷蔵庫の中に流れ出ている冷気に「有り難うね」と声をかける。
その夏が今年もすぐ傍までやってきている。

そういえば本日5月19日、いま猛烈な颱風7号が日本の小笠原諸島に接近しているという。今年の颱風発生はこの季節にしては異常に多い。
(応)