炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

バッドデザイン(続)

2008-04-08 15:52:17 | Weblog
 バッドデザインについて書いた手前、気になってもう一度、周りを見回して驚いた。バッドデザイン商品の氾濫だ。もう少し、挙げてみる。少し長くなるがお付き合い願いたい。
①丈夫にと思って繊維に何か添加物でも付けたのだろうか、水をよく吸わない手拭がある。布地が固く、ごわごわして、肌触りがすこぶる悪い。吸水性が低いから、使った後で、たとえば、手や顔、あるいはテーブルの上に、水分が残る。これでは、手拭の用をなさない。
 反対に、薄く柔らかく、絹の感触のハンカチ。残念ながら保水性が極めて低い。手洗いなど、1回使っただけでびしょびしょな感じになる。汗拭きにもならない。実用性に乏しい、かっこをつけたハンカチか。
②私は足指に痛みを抱えているので、靴下のデザインに神経質になっている。まず、足首の編み方がきつく、長く履いていると足先が浮腫むようになる。もう少し、弾力性をゆるく出来ないものか。次に足先。靴にはいわゆるEEEEタイプといった、幅広の形があるが、多くの靴下は指先部分が細くしぼむような形になっている。靴だけでなく靴下でも足指が締め付けられるような感じになる。もっともこの頃は、緩めの靴下と言うものも出始めているようだ。デパートの売り場で物色していたら、緩めの靴下を指定する客が結構多いことを知った。
 最後に、靴下は全部が一体で出来ているわけではなく、指先部分が踵部分を含めた本体と縫合されている。この部分がひどい。裏側に縫い目が出張っているのだ。これが足指に当たって痛い。これを避けるため、私は靴下を裏返して履いている。
③石鹸は界面活性剤である天然の油脂を固めたものと言うのが、昔覚えた私の知識である。界面活性剤によって皮膚(とは限らないが)などの表面が流動的になり、汚れが落ちるのである。ところが、最近の石鹸には界面活性剤である油脂をちゃんと使っているのか疑いたくなるものがある。泡立ちは一応あるが、汚れがさっぱりと落ちないのだ。これは、泡立ちだけで誤魔化した確信犯的なバッドデザインではないか。モーレアで土産に買ってきた素朴な石鹸のなんと爽やかなことか。
④液晶トップメーカ製のテレビ。リモコンで番組の視聴予約が出来る。ところが、予約より前の別番組を見るため、リモコンを使ってテレビの電源を入れ、その後、切ると(もちろん予約時間より前に)、予約番組はオンするが番組の時間が過ぎても電源がオフにならないのだ。目を皿のようにして取扱説明書を探したら、小さな字で、「リモコンの電源ボタンで「切」にした状態(スタンバイ状態)で、視聴予約した番組が始まると自動的に電源「入」になります。また、その後、リモコン操作をしなかった場合、予約した番組が終了すると自動的にスタンバイ状態になります。」と書いてあった。しかし、「リモコン操作をするとスタンバイ状態にはならない」とは書いてないのである。要するに、予約して電源を切ったら、後はそっとしておけと言うことだ。
 どうしてこのようなデザインが出来るのか。これは、バッドデザインと言うより、デザインミスだ。
⑤この頃の車のヘッドライトは目を吊り上げたような形が多い。血相を変えて相手を出し抜こうと人々が必死に競争している世相を、反映しているとでも言うのであろうか。世相がそうなら、もう少し落ち着いた、いわゆる、癒しのようなデザインにしてもらえないものか。
⑥日本の建築家の多くは美的センスに乏しいのではないか、と言うのが私の持論だ。奇妙なフォルムや細い線がやたらと多い外観の建物は美しいとは思えない。東京都庁の建物を見て落ち着いた気分になれますか。もっとも、東急線大岡山駅前の或る建物を設計した建築家は「現代の不安とアンバランスを表現したかった」と言ったそうだ。見るたびに、アンバランスの苛立ちと不安を感じさせられてはたまらない。
 外壁にでこぼこの多い高層ビルの清掃はどうするのであろうか。先日、近くの高層マンションが外壁清掃のために、非常な手間を掛けて高い足場を組んでいるのを目撃した。思慮深く設計した建物は、清掃用の装置を外壁に沿って動く機構を埋め込んでいるそうだが、多くの高層マンションは、予めそのような方策を考えていない(残念ながら我が家が入っているビルもそうだ)バッドデザインだ。(青)