酒のさかな

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【メタボリックシンドローム】どうせ特定健診なんて5年後にはなくなる

2013-08-14 07:43:27 | ことば系
最近、人間ドックに行ってからダイエットに心がけている。
しかし、腹囲85cmが話題となったメタボ健診(特定健診)には悪意さえ感じている。
私自身、何度も「メタボ、メタボ」言われてきたが、今回やっぱり言われたのでキッチリ反論しておきたい。

『どうせメタボ健診なんて5年後にはなくなる』

このところずっと言い続けてきた言葉である。
ちょっと難しいが、この際、解説をしておきたいと思う。
日本中で「キマリ」とされていることが、いかに非科学的で根拠のないことか、いかに保険料の無駄遣いをしているのか考えてほしい。
できれば、TVなんかで「内臓脂肪が・・・」などというバカげた専門家を鼻で笑えるように。

【メタボリックシンドローム】以下、Wikipediaより抜粋
(英: metabolic syndrome、代謝症候群、単にメタボとも)は、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上を合併した状態をいう。

メタボリック症候群の主要な機序は、
  ◎インスリン抵抗性
  ◎腹部肥満
  ◎炎症

 (⇒単純な「肥満=動脈硬化」の図式ではない、炎症性病態がメタボの本質である)
 と考えられ、他に、
  ○食事
  ○喫煙
  ○運動不足
  ○加齢
  ○社会経済的要因
  ○ホルモン失調状態
などが考えられる。

〔経緯〕
1951年、Jouve、Vagueらは男性型肥満が心血管疾患の原因になることを指摘したが、1981年、Rudermannらは正常体重でも肥満の人と同様に心血管疾患になりやすい(MONW)人が存在し、これが高インスリン血症によるであろうと報告した。そして、1988年、Reavenによって生活習慣病の三大要素(高血圧・糖代謝異常・脂質代謝異常)がインスリン抵抗性を基礎に集積して、心血管疾患を引き起こすという学説が、「Syndrome X」として報告され、その翌年にKaplanが男性型肥満を加えて「死の四重奏」と命名したのを契機に、インスリン抵抗性症候群の研究が盛んとなり、1993年、Hotamisligilが肥満とインスリン抵抗性の間に炎症が介在することを指摘し、1998年にWHO(世界保健機関)が『メタボリック症候群』という名称でその診断基準を発表した事により、「メタボ」としても一般に知られるようになった。

2001年に簡便なNCEP-ATPIII診断基準ができて、これが世界的に普及したが、2004年にRidkerらが炎症マーカーであるCRPを診断項目に加えることを提唱し、2005年に、国際糖尿病連盟(IDF)は腹部肥満を必須項目とするメタボの世界統一診断基準を作成している。

しかし、その直後、2005年に、アメリカ循環器学会と国立心臓肺血液研究所はIDF診断基準よりもNCEP-ATPⅢ診断基準の方が優れているという共同声明を発表し、アメリカ糖尿病学会とヨーロッパ糖尿病学会は、どの診断基準も問題であり、人々にメタボリックシンドロームというレッテルを貼ってはいけない、という共同声明を発表した。

〔日本のメタボリックシンドローム診断基準の問題点〕
2002年、日本肥満学会(JASSO)はBMI 25 kg/m2以上、内臓脂肪面積 100 cm2以上 (男女無差別)、腹囲 男性 85 cm、女性 80cm以上を「肥満病」と定義し、2005年、メタボリックシンドローム診断基準検討委員会はJASSOの提案した「内臓脂肪症候群」診断基準を日本のメタボリック症候群診断基準とした。
この診断基準の問題点を列記すれば以下のようになる。

1.「内臓脂肪症候群」は科学的に確立された概念ではない。
1997年、松澤は、限られたデータを基に、インスリン抵抗性は皮下脂肪肥満よりも内臓脂肪肥満で重症であり、皮下脂肪は内臓脂肪の病的作用から生体を守る作用があるだろうと述べた。

 (⇒日本での内臓脂肪諸悪根源説の始まり)
2007年、Pouらは内臓脂肪体積および腹部皮下脂肪体積と各種炎症マーカーおよび酸化ストレスマーカーとの関係を詳細に検討して、内臓脂肪体積と炎症マーカーとの関係は腹部皮下脂肪体積と炎症マーカーとの関係は腹部皮下脂肪体積と炎症マーカーとの関係とほぼ同等であることを明らかにした。
内臓脂肪はエネルギー過剰環境に対して皮下脂肪よりも強い炎症反応を示すが、これは内臓脂肪量とは平行しない。

 (⇒つまり、最近あたりまえのように語られる「内臓脂肪」に意義はない)
2.JASSOが腹囲基準値を決めた方法は論理的に矛盾している。
JASSOは、心血管危険因子と内臓脂肪面積との関係において性差が大きいことを無視して、男女無差別に内臓脂肪面積の基準値を決め、この男女無差別な値から男女別の腹囲基準値を決めたのは論理的一貫性を欠く誤った解析である。

 (⇒海外論文なら真っ先に却下されるようなミスが医師会系学会ではまかりとおるのだ)
日本国内の多くのグループがJASSOと異なる腹囲基準値を提唱しており、JASSOとは逆に、すべて男性の方が女性より大きな値となっている。
 (⇒多数の科学的意見を取り上げない日本肥満学会の本意は?)
3.腹囲85cmを基準に診断された男性のメタボリックシンドロームは心血管疾患発症の有意なリスクにならない。
2006年、清原らは久山町研究で、男性で腹囲85cmを基準に診断された腹部肥満とメタボリックシンドロームはどちらも心血管疾患発症の有意なリスクにならなかったと報告した。
しかし、腹囲90cmを基準に診断した場合はどちらも心血管疾患発症の有意なリスクになった。

 (⇒すでにメタボ健診の意義を失っているにもかかわらず・・・)
4.腹囲90cmを基準に診断された女性のメタボリックシンドロームは多くの高リスクの女性を見逃すことになる。
女性では腹囲基準値を90cmとしても80cmとしてもメタボリックシンドロームは心血管疾患発症の有意なリスクになったが、心血管疾患の発症は腹囲80-90cmの女性に集中しており(57%)、基準値を90cmに設定すると多くの高リスクの女性を見逃すことが、久山町研究で明らかになった。

5.肥満をメタボリック症候群の必須条件とすると心血管疾患リスクの高い多くの人を無視することになる。
Okamuraらは国保10年コホルト研究で、BMI 25未満で心血管危険因子を有する人の費やす医療費は総医療費の16.5%だったのに対し、BMI 25以上で心血管危険因子を有する人の費やす医療費は総医療費の7.1%であり、BMI 25以上で2つ以上の心血管危険因子を有する人の費やす医療費は総医療費の2.9%だったと報告した。
したがって、肥満をメタボリック症候群の必須条件とすることは、予防医学的にも医療経済学的にも不適切であると考えられる。

 (⇒メタボ健診は、もはや医療費削減という当初の目的も失っている)
6.メタボリック症候群の診断は困難である。
日本人のための暫定的な5つの診断基準について、その一致度を検討した研究では、2つの異なる診断基準で一致してメタボリック症候群と診断される割合は、男性で19-60%(均41%)、女性で31-89%(均51%)あり、すべての診断基準で一致する割合は、男性で15%、女性で21%だったと報告されている。

 (⇒特定健診では、本当の意味でのメタボリックシンドロームを検出していない)
7.日本の診断基準はメタボリック症候群の国際比較研究の障害となる。
 (⇒世界と比較できないまさにガラパゴス、研究対象にさえならない)
8.内臓脂肪面積の臨床的有用性が確立していないにもかかわらず、メタボリック症候群診断基準検討委員会が、CT等による内臓脂肪面積の測定を研究目的以外で奨励したことは倫理的に問題と考えられる。
 (⇒エビデンスのない内臓脂肪の測定のため、CT被爆を推奨するのか?)

特定健診(メタボ健診)は、医療費削減の名のもと、莫大な利益を享受する団体の圧力に影響された形で始まったものであり、あと5年もたてば意味なかったことがはっきりするだろう。

〔こんくらいのことは、ちったぁ勉強してね保健師さん

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