酒のさかな

平凡な笑市民が日ごろの暮らしの中で出会ったこと
【縦横無尽探険隊別館】

親父の入院 2

2006-06-10 18:36:45 | のほほん日記系
この1週間、親父のことだけで他の事は考えられない状態だった。
【月曜日】救急車により緊急入院。
家族は「なんとか命だけでも助かった」という複雑な思いだった。
助かるという光が見え始めると、次は後遺症の心配である。
しかし、とりあえずは生きてくれたことを良しとしよう。
【火曜日】ドルミカムで眠っている。CTの結果、出血が続いていた。軽い肺炎も起こしているらしい。
このまま出血が止まらなければ手術もありうる。
大量出血ではないことを喜ばなければならないのに、そんな気になれない。
混乱して暴れるのでドルミカムで眠らせてある。
【水曜日】朝からドルミカム切ったにもかかわらず、夜まで覚醒しなかった。この薬、半減期は短いのに長期投与後はかなり体に残りそうだ。
【木曜日】朝、覚醒していた。
小学校時代の記憶をさまよっているらしく、混乱している。目を覚ますとベッドから降りようとするので拘束されている。思考はグチャグチャだが、意識が清明であることが嬉しく感じられた。
叔父(末弟)に聞いたところ、呼んでいるのは確かに子供の頃の友人たちの名前だそうだ。記憶はそのうち落ち着くのだろう。
夕方のCTは出血が止まったことを示していた。
画像を見ながらDrに聞く。
『左前頭葉だけではなく、右も浮腫ですよね?』
「両方だと思います。びまん性軸索損傷もあるでしょう。」
おいおい、後出しでなくきちんと説明してくれよ。
夜、『わかるね?』と聞くと、「う・・ん、誰やったっけ?」と答える。家族がわからないようだ。さすがに衝撃を受けた。
【金曜日】朝、眠っていた。昨日はベッド脇に立っていたそうだ。薬で眠らせないと動き回るらしい。
夜、酸素マスクに代わっていた。Drを捕まえ聞く。
『呼吸が悪いようですが・・・熱もすごいし』
「悪いですね。肺炎がひどくなっているようです」
『薬が入っているので心配いらないんじゃ』
「最初から痰が汚かったし、最初に何回か吐いたので異物が入って嚥下性肺炎もあると思います」
ちょっとキレた。
『最初から抗生剤変わってないですね』
「今、菌を検索しています。薬は利いていますので」
嚥下性肺炎は意識障害の高齢者なら当然考慮すべきであり、吐物だけではなく予防としての口腔清浄が必要だろ。今まで気にしていたが口腔ケアは全くなされていない。抗生物質も必要なら2剤併用だろうしICUで肺炎管理ができないとは思えない。最初の胸部画像は素人目ではそんなにおかしくなかったので肺炎があったとしても本当に軽いものだったと思う。
『モニター波形も時々気になっていたんですが』
「以前起こした心筋梗塞の痕跡がありますね。」
『心筋梗塞は起こしたことないのですが』
「気づかないうちに梗塞が直ったんでしょうね。」
素人でも気づく波形の変化も言わないと説明しない。
今晩、明日くらいの肺炎の急変が心配になったので、家族にはそのつもりをするよう電話をしておいた。
【土曜日】朝、眠っている様子では心配していた肺炎は落ち着いているようだった。とりあえず家族に電話をした。
午後には覚醒していた。
『わかるね?朝何か食べたね?』
「誰ですか?朝・・・食べたやろうか?」
『わからんね?じゃあ自分の名前はわかるね?』
「わかっとる。お前のお父さん。」
『ちゃんとわかっとるね。』
「なぜここに入れられとるとか?かかえて連れて帰れ」
『あんた転んで頭打ってICUに入ってると。大騒ぎやったとよ』
「なんば馬鹿なこと。転んだりするものか。ICUちゃ何か?」
『集中治療室。あんた死にかけとったと。帰られるわけないやろ』
「頭が痛い・・・」
『頭打っとるけん頭痛いさ』
「もう寝る」
・・・・・・・・わかったのかふてくされたのか眠ったようだったので帰った。
その後、母親に対しては「皇后陛下」と冗談を言っていたらしいが、妹については「知らん女の人」とまだわからないようだ。
うちの嫁さんが行った時には嫁さんに「おおー」と握手をしたものの、わかってない様子で、それより大暴れして看護婦さん2人がかりで抑えていたらしい。

しかし、とりあえず生命に危険な場面は脱したと思う。
今後記憶を刺激してリハビリしなければいけない。
少し気が楽になったので今のうちに喪服(入らなくなっていたので)を買いに行った。もう必要になることがないことを祈りたい。

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