酒のさかな

平凡な笑市民が日ごろの暮らしの中で出会ったこと
【縦横無尽探険隊別館】

近所の火事

2006-12-19 22:49:33 | のほほん日記系
ピロロ・・・仕事中に携帯が鳴った。
「お前んとこの隣々が火事だ。今燃えよる。知ってるか?」
友達から訳のわからん電話。
『はぁ?隣?燃えよる?ウチは?』
「今んところ大丈夫。東側の前に油屋やったところ」
『ウチは?西側の豆腐屋の空き家はまだあったっけ?』
「火が東に広がっているから、お前んとこは今のところ大丈夫」
『広がりよると?密集地だから広がったら次々やろうもん?』
「東隣には火が移った。その向こう側は道挟んでいるから何とかなるやろ」
『ウチの親父は何しよる?』
「おらんやった。お前んとこやけん消防団を手伝いよるとじゃなかやろか」
『また怪我するけん、見つけて連れ戻せ!』
「へいへい、探してくる」

ウチの実家は古くからの住宅密集地である。
小学校頃、おそらく地区で一番早く消火栓が出来た。
水のとれる川まで100m以上、皮肉にも今回火事になった家の前で発炎筒を焚いて消防訓練が行われていたくらいだ。

後で聞いたこと。
私の妹が3歳の姪っ子を実家に預けていた矢先の出来事で、慌てて駆けつけた時には既に全焼して隣を消火していたらしい。
風向きが西風だったにもかかわらず、姪は煙まみれで震えており、家に立ち寄っただけの妹も体中酸っぱい匂いが付くくらいだったらしい。
火を出した家は顔なじみの親父さんが焼け跡から掘り出され、延焼は離れていたはずの母屋から先に燃え出し、火に近い若夫婦の住む小屋も結局は燃え尽きた。
西側の豆腐屋の空家が最近取り壊されてサラ地になっていたのは幸いだった。
もし残っていたらいくら西風とはいえ、軒先1mもない豆腐屋にも延焼し、外壁が木板の輸入住宅である隣の家まであっという間だったろう。
ウチの向かいが消防署勤務なので近所の状況を良く知っていただろうから、延焼すれば大変なことになると思ったのだろう。
消防車を8台も出動させたがやはり水の確保に苦労したということだった。

ウチの親父といえば・・・
消火器1本持って駆けつけ、延焼した東隣の家から荷物を運び出そうとしたが、消防隊員に止められたらしい。
なんともできなかったことを悔やんでいたようだ。

子供の頃を過ごした近所の変わり果てた姿を見るのはなんともやりきれない。