陸奥守平惟扶朝臣の下るに、幣の洲浜の鶴の羽に書ける
ちとせまで いのちたへたる つるなれば きみがゆききを したふなりけり
千歳まで 命たへたる 鶴なれば 君が行き来を したふなりけり
陸奥守平惟扶朝臣が任地に下るにあたって、幣とした洲浜の鶴の羽に書いた歌
千年までも命を保って生きている鶴であるから、あなたさまの無事を祈り、寄り添って行き来をともにするのであるよ。
平惟扶(たいら の これすけ)は平安時代中期の官人ですが、詳細はわかっていないようです。「幣の洲浜」は、洲浜を幣として贈ったと解釈しましたが、通常の幣を洲浜に添えたということなのかもしれません。