ものへ行く人待つほどすぐれば
おもふひと またさもあらず あふさかの せきのなこそは なのみなりけれ
思ふ人 またさもあらず 逢坂の 関の名こそは 名のみなりけれ
旅立つ人の送別の宴に、送られる人がなかなか現れずに待ちあぐねて詠んだ歌
心を通わす人もそうでない人も逢うという逢坂の関だが、それは名ばかりで、別れを惜しもうとしているのに逢えずにいることよ。
歌枕中の歌枕と言って良い「逢坂の関」、何千回何万回と歌に詠まれてきたのでしょうね。でも手元でわかる貫之の歌(約1300首)に限ると「あふさか」を含む歌は六首。意外に少ないですね。