おなじ人のむまのはなむけに、橘助繩が装束おくるとて加へたる
たまぼこの みちのやまかぜ さむからば かたみがてらに きなむとぞおもふ
玉ぼこの 道の山風 寒からば かたみがてらに 着なむとぞ思ふ
同じ人の旅立ちのはなむけに、橘助繩が装束を贈るのに添えて読んだ歌
道中の山風が寒かったならば、私を思い出すよすがとしても、これを着てほしいと思います。
橘助繩(たちばな の すけなは)は、687 から始まる七首の一連の歌の詞書にも出てきた人物。「たまぼこの」は「道」にかかる枕詞ですね。
この歌は、新古今和歌集(巻第九「離別」 第857番)に入集しています。