師尹の侍従のよませたまふに
とほくゆく きみをおもふに ひともみな ほととぎすさへ なきぬべらなり
遠く行く 君を思ふに 人もみな 時鳥さへ なきぬべらなり
師尹の侍従の仰せで詠んだ歌
遠くに旅立って行くあなたのことを思って人はみな泣いている上に、時鳥までもが同じ思いで鳴いていることです。
「師尹の侍従」は藤原忠平の五男、藤原師尹(ふじわら の もろまさ)のこと。名前は書かれていませんでしたが、「左大臣殿の五郎」として、実は 334 にも登場していました。第五句「なき」が「泣き」と「鳴き」の掛詞になっていますね。