【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「戦火のナージャ」

2011-05-06 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)

感想は?
「戦火のナージャ」だけに、ナーンジャこりゃ。
全然おもしろくない。
映画がおもしろくないと、ダジャレもつまらなくなるのさ。
どうだか。
ロシアが誇るニキータ・ミハルコフ監督の映画だっていうから、期待して映画館に行ったんだけどなあ。
「太陽に灼かれて」の続編だった。
しかも、今後パート3もあるらしい。
まさに、そんな中途半端な位置づけの映画。
第2次世界大戦で生き別れになった父娘の物語なんだけど、発端のドラマはパート1でやっちゃったし、結末はパート3あるいはそれ以降ということで、見るからに中継ぎの映画になってしまった。
迫力ある戦場シーンのオンパレードなんだけど、ただそれだけで、父娘のドラマは一向に動かないから、観ていておいてきぼりを食う。
アホなドイツ兵が始めたいたずらがとんでもない悲劇を引き起こすとか、エリートと現場の兵隊の確執とか、丸焼にされる納屋とか、戦争の愚かしい側面を悲喜劇のタッチで力を込めて描いてはいるんだけど、中心になる物語がないから、映画としてはつらい。
一番感動的なシーンが、パート1の回想シーンだなんてねえ。
ラストには、「人間の條件」とか「ミッドナイト・エクスプレス」を思い出させるような切ないシーンもあるんだけど、挿話のひとつに過ぎないから観ている側の感情が盛り上がっていかない。
娘役に女性らしい情感が必要な場面なんだけど、演じる女優は若過ぎてそういう情感も足りなしなあ。
二キータ・ミハルコフの実の娘らしいぜ。
「ゴッドファーザーPARTⅢ」の悪夢再びか。
ロシア映画でいうと、「戦争と平和」シリーズの中盤の戦場シーンばかりが続く一本を見せられているような気分だった。
開巻まもなくの、陽光に包まれたスターリンのシーンは、二キータ・ミハルコフらしい諧謔的な感じが出ていてよかったんだけどなあ。
この監督って、もともと、そういう小じんまりした場所で人々が右往左往するみみっちい話が得意だったはずなんだけど、いつの間にか大監督になっちゃった。
12人の怒れる男」のリメイクはよかったけどね。
こうなったら、パート3に期待するしかないか。
パート3では、ナージャも、もっと情感を押し出してほしいわね。
ナーンジャこりゃ、なんて言わなくてもすむようにな。
そんなこと言うのは、あなただけだけどね。