【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「ビルマVJ 消された革命」

2010-11-25 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)

なんと言っても、お坊さんが托鉢の皿を裏返して抗議のデモ行進をする場面が鮮烈だった。
軍政の続くビルマ国内の市民の抵抗と挫折を決死の覚悟で追った緊迫のドキュメンタリー。
国外からのジャーナリストをいっさいシャットアウトしている中で、ゲリラ的に撮影したビデオ映像を世界に配信するビルマ国内の組織と、彼らが撮った反政府デモの映像を記録した力作だ。
凡百のサスペンス映画では敵わないくらい、全編に渡ってただならぬ緊張感が漂っている。
その中には、日本人ジャーナリストが銃弾に倒れた有名な事件の瞬間を捕えた映像もある。
私たちが断片的に見てきたニュース映像が、実はこういう綱渡り的な撮影によって奇跡的に日の目を見ているんだと思うと、戦慄さえ覚える。
彼らがいなければ、ビルマの実情なんて誰にもわからないと思うと、なお一層ぞっとする。
映像の持つ力を改めて思い知ったわ。
ペンは剣よりも強し、って言うけど、ビデオカメラは軍より強し、だ。いつかきっと、この国を変える。
そして、その映像を何としても世界中の人々に知ってもらいたいと奮闘するジャーナリストたちの身を呈した活動には、ほんとうに頭が下がる。
のんきに「いい映画だった」なんて言ってる場合ではない。
無抵抗のお坊さんを身ぐるみはがす兵士たち。その残酷な映像だけでも全身に鳥肌が立つくらい衝撃的。
“百聞は一見に如かず”を地で行くような映画だった。
でも、なんで「ビルマVJ」で「ミャンマーVJ」じゃないの?
「VJ」は、彼ら勇気あるビデオジャーナリストの総称だろう。
そうじゃなくて、私が知りたいのは、「ビルマ」と「ミャンマー」の違いよ。
現地では、どっちでも気にしないらしぜ。「にほん」と「にっぽん」のようなもんじゃないか。
ほんとに?
疑問に思ったら自分で調べてみることだ。疑うところから真実は暴かれていく。
うーん、あなたの口からそんなジャーナリストみたいなことばが出るなんてねえ。映画の影響力ってやっぱり凄いのね。
へんなところで感心するなあ。