【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「青い鳥」:小松川三丁目バス停付近の会話

2008-11-29 | ★錦25系統(葛西駅~錦糸町駅)

なかよし緑地?のどかでいい名前だねえ。
でも、ひょっとしてこういう名前をつけなきゃいけないほど、世の中は殺伐としているのかもしれないわよ。
まだ、まだ、いじめのニュースとか多いしな。
いじめをテーマにすえたテレビドラマや映画も多いしね。
そんな中で、重松清の小説を映画化したのが「青い鳥」。
これも、中学校で起きたいじめのその後を描く映画。ある意味、手垢のついたような題材なんだけど、予想外に端正な映画で感動しちゃった。
なんといっても、担任の教師が吃音だっていう着想に感心する。
何も、吃音なのに国語教師になることはないと思うんだけどね。
いやいや、俺は手が不自由なグラフィックデザイナーを知ってるぜ。
うん、そうね。何だって本人次第なんだから、まわりが可能性を閉ざすことはないのよね。
この教師、吃音だから、肝腎なことしか喋らない。余計なことはいっさい喋らない。その設定が素晴らしい。
うん、金八先生みたいにグダグダ、グダグダ、人生訓を垂れるようなことがなくて、いっそストイック。
演じるのが、阿部寛。
意外な配役。
テレビの「ドラゴン桜」の熱血教師から一転して寡黙な教師を演じているんだけど、これがまた結構はまってる。
いまにも饒舌になるんじゃないかと、ドキドキしながら観てたけどね。
いやいや、背が高いのに背中を丸め、颯爽としたところの微塵もない歩き方が、なんとも印象的だ。
大きな背中が、彼自身にもいろいろな人生があったんだろうなあと感じさせる。
でも、彼自身のバックストーリーは一言も語られず、教室を中心としたいじめ事件の後遺症だけに話はしぼられる。
先生が生徒の家まで追いかけていったり、先生と生徒が川原で語り合ったりする、ありがちな場面も皆無。
ああ、担任の阿部寛と生徒の本郷奏多が心情を吐露するクライマックスシーンも、教室の窓側と廊下側に離れた位置を保ったまま、決してそれ以上近づこうとしない。
その距離感!
先生と生徒だろうと、別々の人格なんだ、一個の人間同士なんだ、踏み込んじゃいけない領域があるんだ、という意思が見えて、鳥肌が立った。
「教師は見守ることしかできない」とか言いながら見守る以上のおせっかいを焼く学園ドラマがよくあるんだけど、この教師は、たしかに見守るということを実践している。
だから、教師と生徒たちの物語っていうと、どうしても人情べたべたの話になっちゃうんだけど、この映画にはそういうところがまったくない。
先生と生徒が心を通わせてめでたし、めでたし、って話じゃないんだ。
生徒は自分で自立し、先生はそれを見守るだけ。できるのは、背中を押すくらいだっていう、凛とした自覚がある。
最後の授業で先生が指示したことも、生徒全員がそれに従うわけじゃない。従う子もいれば、従わない子もいる。
生徒がひとりひとり自分で考えれば、結果はそうなってあたりまえだ。全員が従うなんて現実にはあり得ない。
先生が学校を辞めて去るシーンも、ふつうならクラスの子どもたちが泣きながら追ってくるなんていうクサい演出になりそうなのに、そういう展開にはならない。
そもそも別れのシーンがない。
阿部寛は、動き出したバスの中でひとり静かに石川啄木の詩集を読むだけ。なんてクール!
大林宣彦なら、そこで石川啄木のイメージをぐっと膨らませて、原作:重松清+石川啄木みたいな映画をつくるところだろうけどな。
原作:重松清+宮沢賢治になっていた「その日のまえに」みたいにね。
新人の中西健二監督はそこまでハッタリを効かせる気はなく、全編、実にオーソドックスに撮っている。
作家の個性が出た映画が大好きなあなたにはちょっと物足りないんじゃないの?
そのはずなのに、今回ばかりは、どういうわけか、この地味な映画が俺のツボにはまってしまった。
やっぱり原作がいいんじゃない?
もちろんそれもあるが、その原作のエキスを生かしたのは、映画の演出だからな。声高に叫ぶのはやめることに徹した製作者たちの姿勢にグラッときたのかもしれない。
あるいは、他人ごととは思えない何かがあったとか?
そういうことがあっても、阿部寛と一緒で、自分の過去は語らないのが俺の信条さ。
本当は、語るべき過去もないくせに。
グサッ。



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「バンク・ジョブ」:小松川警察署前バス停付近の会話

2008-11-26 | ★錦25系統(葛西駅~錦糸町駅)

ずいぶん、威風堂々とした警察署だな。
ここの警察なら、どんな難事件も解決しちゃいそうね。
いや、いや、世の中には不可解な事件もいっぱいあるからな。
例えばイギリス映画の「バンク・ジョブ」みたいな?
そう、そう。金がほしくて銀行の貸し金庫を襲ったら、その中にたまたま政財界の重鎮たちのあーんなものやこーんなものがごちゃまんと入っていて、一大スキャンダルに発展しちゃう。
貸し金庫っていうのがミソよね。人前にはさらせないようなものをしまっておくのが貸し金庫だから、単純に警察に被害届けを出すわけにはいかない。非合法に取り戻そうとする。
しかもその中には、なんと、英国王室を揺るがすような衝撃的な写真まで入っていた。
で、このコソ泥集団は、表社会からも裏社会からも狙われ、とんでもない立場に陥ってしまう。
さあ、そこをどう切り抜けるか。久々に胸のすくクライム・アクションの登場だ。
こういうシチュエーションを考えついた、企画の勝利よね。
いや、考えついたんじゃなくて、本当にあった事件だ。
うそ!
1971年のイギリスで実際に起きた王室スキャンダルに関わる銀行強盗事件をそのまま映画化したんだから。
ひえー。それにしては面白すぎ。事実は小説より面白い!
でも、映画は事実と同じくらいおもしろい。
ロジャー・ドナルドソン監督がシャープな演出で、きびきびと展開していくから、なおのこと、ドキドキ、ワクワクする。
ブルース・ウィルスばりのハゲた主人公がまたいい。
こういう役はやっぱり、ハゲで中年じゃなきゃ滋味が出ないわよね。
シャーロット・ランプリングを二流にしたような訳あり女優も出てきて、適当に色恋話も入れているんだけど、それで話が停滞することもない。
最後まで疾風怒涛のごとく見せきってしまう。
しかも、神聖な王室のスキャンダルを映画化するなんて、日本じゃ考えられない大胆な試み。
そのせいで、30年以上も経ってからの映画化になったのかしら。
その土曜日、7時58分」を観たときも思ったんだけど、どうしてこういう万人が観ておもしろい映画が東京ではミニシアター1館でしか上映されなくなっちゃったんだろうな。
こういう映画を楽しむ、おとなの観客がいなくなったってことなんじゃないの。
かといって、テレビの放映を待っても、テレビ東京の木曜日9時の枠でひっそりと放送されたりするんだろうからなあ。寂しいねえ。
タイトルは「バンク・ジョブ」、映画は「グッド・ジョブ」だったのにね。
おっしゃるとおり。




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「ブラインドネス」:京葉交差点バス停付近の会話

2008-11-22 | ★錦25系統(葛西駅~錦糸町駅)

このごろ、ものが見えづらくなってさあ。あそこに見える病院でも行くかな。
でも、あの病院に眼科はないわよ。
うそ!目の前、真っ暗になりそう。
真っ暗じゃなくて、目の前がまっ白になった映画が、「ブラインドネス」。
ある日、突然目の前がまっ白になって牢獄みたいなところへ監禁される人々の物語。
ブラジルの映画監督フェルナンド・メイレレスの映画なんだけど、最初に病にかかるのが、日本人の伊勢谷友介で、その妻が木村佳乃。
日本人を最初の患者にするなんて、この監督、1996年アトランタ五輪で日本がサッカー王国ブラジルを1-0で撃破したことをまだ根に持ってるのかな。
ぜーんぜん関係ないと思うけど。
そうだな、国も時代も人種も特定されていない映画だもんな。
うん、人種を特定しないために、日本人とか黒人とか、老人とか子どもとか、いろいろな人をまんべんなく配役したんじゃないのかしら。
特別な人々に起こった事件ではなく、世界というスケールの中で起こった事件だっていうことを言いたいわけだ。
でも、視力を失う理由はわからないし、病気のはずが病院というより牢獄みたいなところへ隔離されちゃうし、理不尽極まる話。
中は盲人だけの無政府状態になって、外からは医者はおろか誰も助けに来ない。どうなってるの、この施設は?
何かの暗喩なんでしょうけど、それが何かはよくわからない。
とうとう内部に独裁者みたいな人物が誕生して、でもそれも案外小物だったりして、なに、この映画?
施設の中はどんどんごみためみたいに汚れてきて、髪も服装も乱れに乱れ、町もどんどん荒涼たる風景になっていく。
うん、殺伐とした街の姿がいちばんの見どころだった。出世作の「シティ・オブ・ゴッド」もブラジルの貧民街が舞台で、相当薄汚れていたけど、そういう散乱した光景に恍惚感を得るのかもな、この監督。
私の近くにもいるけどねえ、部屋を散らかし放題の人。
誰?
本人が気にしなきゃいいけど、見せつけられるほうは迷惑よ。
何の話だ?
あ、映画の話だった。実は、この盲目になった人々の中で、ジュリアン・ムーアだけが目が見えている存在なんだけど、通り一遍で、その利点を生かして胸のすくような活躍をするわけでもない。
「ハン二バル」でFBI捜査官を演じた女優なんだから、もっと機転をきかせりゃいいものを。
逆に、病気で突然目が見えなくなったわけではなく、昔から目が見えない男もいるんだけど、彼もその利点を生かすわけでもない。
いわゆる悪役なんだけど、彼だってぽっと出の盲人じゃなく、研ぎ澄まされた感覚を持っているんだろうから、もっと暗躍のしようがあっただろうに。
40年前の映画「暗くなるまで待って」の中で、オードリー・ヘプバーンが目の見えないことを最大限に生かして泥棒を追っ払ったのが懐かしいわ。
「暗くなるまで待って」?懐かしすぎっ。誰も観てないって。
でも、サスペンス映画の名作よ。
「ブラインドネス」は、そういう、純粋なサスペンス映画じゃないってことだな。
だからといって、深い思想を感じさせるわけでもなく、なにか欲求不満の残る映画だった。
監督自身、何を表現したかったのか、よく見えていなかったのかな。
彼こそ目医者に行くべきだったのかもね。





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「櫻の園-さくらのその-」:東小松川一丁目バス停付近の会話

2008-11-19 | ★錦25系統(葛西駅~錦糸町駅)

「看護婦」は「看護師」に変わったのに、「家政婦」は「家政師」に変わらないのか。
市原悦子が生きているうちはムリでしょうね。
家政婦は見た、ってか。
まだまだ、女性の多い職業だってことなんでしょうね。
いわゆる、女の園か。
そんな響きのいいものじゃないと思うけど。
じゃあ、櫻の園か。
それじゃあ、チェーホフの戯曲のタイトルじゃない。
ノー、ノー、ノー。ここはひとつ、「中原俊の映画のタイトルじゃない」って言ってほしかったね。
18年前の名作映画のリメイク版のこと?
ああ、チェーホフの「櫻の園」を上演する女子高生たちの物語。
もともと吉田秋生のコミックでしょ。いま、なぜリメイクする必要があったのかしらね。それも、セルフ・リメイク。
わかんないけど、「犬神家の一族」のリメイクよりはましだろ。
うーん、亡くなった大村崑・・・じゃなくて市川崑監督には申し訳ないけど、あのリメイクはオリジナルとまったく一緒で、何のために作り直したのか、さっぱりわからなかった。
それに比べれば、今回のリメイクはオリジナルとはちょっと違うぞ。
オリジナルの「櫻の園」は、ほとんど演劇部の部室だけに限定して、上演前2時間程度の出来事だけを描いていた。
それに対し、今回は、カメラもどんどん屋外に出るし、時間も春から初夏へと広がった。
たしかに違うけど、いいほうへ作用したのかしら。
木々の息吹、空気の爽やかさ、桜舞う瞬間。他に何が必要だ?
女子高生たち、ひとりひとりの心のひだ。甘美な季節にも終わりがくるという無意識の自覚。
心のひだ?無意識の自覚?ムズカシッ。
空間も時間も限られた中で展開する話は、女の園の息苦しささえ感じさせて、映画にとっていいカセになっていたのに、今回はそのカセがはずれた分、散漫な印象になっちゃったってことよ。
そうかなあ。空間も時間も限ったら、オリジナルと同じ映画になっちゃうぜ。
だからって、上戸彩にライブハウスで歌わせる?
う、うーん。事務所の要請だろ。
冷や汗が出てるわよ。主演の福田沙紀も事務所の要請?
そう目くじらたてるな。いまどきの女子高生をのびのび演じてたじゃないか。
内面が出てこない。映画の演技じゃないわ。
お前って、ほんと、若い子に厳しいな。嫌われるぜ。
でも、バイオリンをやめた理由も戯曲を上演したくなった心理も、どこか切実じゃなくて、共感できない。
いまどきの子だ。軽い気まぐれってやつだろ。
そんなので納得できる?
だからさあ、ゴチャゴチャ言わずに、売り出し中の女優なんだから応援してやろうよ。
かわいいだけじゃない。
ははあ、本音が出たな。女の嫉妬。いい年して、やだねー。
そういうことじゃなくて、オリジナルの「櫻の園」には匂い立つような濃密な空気が流れていたのに、今回はどこかゆるい空気が流れていて、中原俊監督はちょっと手を抜いたんじゃないの、としか思えないのよ。
でもなあ、お前、オリジナルを超えるなんてそんな生易しいもんじゃないぜ。オリジナルと比べるのがそもそもの間違いじゃないか。
わかるけど、今年公開された「12人の怒れる男」みたいに、まったく違うアプローチでオリジナルとは異なる傑作になってしまった例もあるじゃない。やればできるはずよ。
例えば?
男子校の話にするとか。
見たくねー。
18年後の中年になったクラスメイトの話にするとか。
ますます見たくねー。
いっそ、家政婦の話にするとか。
なんだよ、そこに戻ってきたか。主演は?
市原悦子とか。
見たくねー。
って、唱和するな!



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「ハッピーフライト」:東小松川二丁目バス停付近の会話

2008-11-15 | ★錦25系統(葛西駅~錦糸町駅)

江戸川防具?ここで剣道の防具を買っておくか。
剣道なんかしないのに?
いや、こんど久々に飛行機に乗るからさ。
だから?
飛行機が落ちたとき、防具があれば役に立つかもしれないだろ。
どうして?
防具をつけてりゃ、飛行機が落ちたとき、目の前に飛んできた荷物から顔や体を守れるかもしれないぜ。メーン、コテ、とか言って。
うーん、ついていけない、そういう発想。
はっ、そう?
あのねえ、飛行機で事故に遭う確率なんて、毎日乗ったって400年に一回くらいだって、矢口史靖監督の新作「ハッピーフライト」で言ってたでしょ。
その「ハッピーフライト」を観たから、いざという場合に備えようという気になったんじゃないか。鳥がぶつかって飛行機が操縦不能になるなんて、小室哲哉が逮捕されたのと同じくらいありえないことなのに、それが起きちゃう映画なんだから。
うーん、例えがヘン。
それにうちの家系は過去400年以上飛行機事故に遭ったことがない。俺の代で事故に遭っても不思議じゃないんだ。
そんな昔、飛行機なんて飛んでないし。
でも、この映画を観て以来、鳥を見るたび恐ろしくて恐ろしくて・・・鳥肌が立つ。
おちょくってるのかい!
いやいや、ヒッチコックの「鳥」みたいに、群れをなして襲ってきたらどうするんだよ。
だいじょうぶだって。実際には、そんなこと起こらないように、いろんな対策を取っているらしいから。
飛行場に鳥を撃つ猟師を配置するとか?
そうそう。本当にいるんだって、ああいう空港専門の猟師。空砲らしいけど。
主役のキャビン・アテンダントを演じるのが、日本屈指のタレ目女優・綾瀬はるかだっていうから、堀ちえみの「スチュワーデス物語」みたいなドジで間抜な新人アテンダントのお気軽コメディだと思ったら、あれよあれよという間に本格的な航空大パニック映画になっていくんだもん、予想外だったぜ。
航空パニック映画の先駆け「大空港」がアメリカで誕生して38年、日本映画もやっとこういうものをつくれる時代になったのね。
とはいえ、監督が「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」の矢口史靖だから、緊張感あふれるドラマチックな展開というより、少々抜けたところがある人々の愉快な話になっていて、観ていて手に汗握るというより、微笑ましくも愛すべき映画になっていた。
力を入れているんだか、力を抜いているんだかよくわからない。そこが魅力なんだから、おかしな監督よね。
話はアンハッピーフライトなのに、「ハッピーフライト」なんてお茶目なタイトルつけちゃうし。
思わず吹き出しちゃうエピソードが満載なんだけど、笑いを取るためだけのエピソードじゃなく、みんながベストをつくしているからこそ起きちゃうできごとだから、ドタバタな展開にもどこか共感しちゃう。
それにしても、わざわざ台風の真っ只中の成田空港へ引き返すとか、時任三郎の機長が「そのときはそのときだ」なんて発言するとか、相当いいかげんな航空会社だよな、この航空会社。
堂々と出てたけどね、「ANA」って。
こんな、航空業界を茶化したような映画に協力するなんて、太っ腹だなあ。
でも、観終わってみれば、飛行機一機を飛ばすためにいろんな部署のプロフェッショナルたちがいろんなところでがんばっているんだなあっていう感慨が残って、ANAに対するイメージも相当上がったわよ。
そこまで見越してたってことか、ANAは。隅に置けないねえ。
残念なのは、そのANAで検査漏れの機体が見つかったっていう、ついこの間のニュース。
ありゃ、じゃあ乗るときはやっぱり剣道の防具が必要だ。
だから、ついていけないって、その発想。



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