Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ラ・フィアンマ(炎)

2013年07月28日 | 音楽
 レスピーギのオペラ「ラ・フィアンマ(炎)」。東京オペラ・プロデュースの公演。

 レスピーギにはオペラ作品がいくつかあるとは思っていた。岸純信氏の解説によると、10作とのこと。うち1作は未完、またもう1作は未完の遺作で、レスピーギの死後、妻らによって補筆された作品なので、完成された作品は8作ということなる。これはけっして少なくない数だ。

 数年前にベルリン・ドイツ・オペラが「マリー・ヴィクトワ―ル」を上演した。そのときも観たいと思ったが、日程的に合わなかった。なので、レスピーギのオペラは今回が初めてだ。

 で、どうだったのか。それを一言でいうのは難しい、レスピーギのオペラはこうだと端的にいうのは難しいと思った。

 レスピーギというと、「ローマ三部作」をはじめ「ボッティチェッリの三連画」や「教会のステンドグラス」などのオーケストラ作品で透明感のある色彩豊かな作風のイメージが強い。その片鱗はこのオペラでも垣間見られた。また「教会のステンドグラス」や「リュートのための古風な舞曲とアリア」第1番~第3番で古い旋法的な音楽のイメージがある。その片鱗もあった。だが、全体を大つかみで括ったときに、どういえばよいかは、今一つつかみかねた。

 それが作品のせいなのか、演奏のせいなのかは、即断を憚られる――そんな気がした。

 演奏が悪かったといっているのではない。皆さん一生懸命だった。そのことは、この団体の公演に足を運ぶ人なら、だれでも知っている。むしろ今回はオーケストラがいつも以上によかった。石坂宏の指揮のおかげだ。すばらしくオペラティックな演奏だった。オーケストラに歌手以上のドラマがある場面がいくつもあった。石坂宏には今後もさまざまなオペラを振ってもらいたい、と思ったほどだ。

 一方、作品のせいとも断言できない。むしろ、そんなことよりも、今回は初めてレスピーギのオペラに触れた――レスピーギのオペラの世界を覗く窓が開かれた――、そこにとどめるべきだろうと思った。

 ここ数年来、ザンドナーイ、アルファーノ、ジョルダーノのオペラが上演されている。そして今回はレスピーギ。少しずつプッチーニの影に隠れていたオペラが視野に入ってきた。こういった公演が手弁当――そういうと失礼かもしれないが――の自主運営団体(2団体)によって続けられている。その心意気やよしだ。
(2013.7.29.新国立劇場中劇場)

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