Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ラ・フォル・ジュルネ:グレチャニノフ「ミサ・エキュメニカ」

2018年05月05日 | 音楽
 今年のラ・フォル・ジュルネも、聴きたい演奏会がいくつかあったが、そのうち2つの演奏会を聴くことにした。昔のように、興味のある演奏会をどれもこれも、しかも連日出かけて聴く元気はなくなった。情けない。

 だが、そんなわたしでも、食指が動く演奏会が、毎年必ずある。それも複数ある。他の方のブログやツイッターを読むと、皆さんそれぞれの選択があり、わたしをふくめた多様な関心にラ・フォル・ジュルネは応えている。その許容量というか、器の大きさに感心する。

 さて、本題に入ると、わたしが選んだ演奏会の一つは、ドミトリー・リス指揮のウラル・フィル、エカテリンブルク・フィルハーモニー合唱団と4人の独唱者によるグレチャニノフの「ミサ・エキュメニカ」の演奏会。

 グレチャニノフGretchaninov(1864‐1956)という作曲家を、わたしは知らなかった。ロシアに生まれたが、ロシア革命後、晩年になってロシアを出て、いくつかの国に住み、最後はアメリカで亡くなった。そういう人生が、同時代人で晩年になってロシアを出て、最後はパリで亡くなったグラズノフ(1865‐1936)と重なって見える。

 「ミサ・エキュメニカ」はグレチャニノフの代表作らしいが、エキュメニカとはどういう意味か。片桐卓也氏のプログラム・ノートによると、「エキュメニカという名前は「エキュメニズム」から取られた。エキュメニズムとは20世紀になって起こったキリスト教統一運動のことを指す。地球上に存在するキリスト教の各宗派を統一しようとする運動である。」。

 演奏時間45分ほどの大曲。ロシアの大地を想わせる重厚な曲で、わたしは完全に惹き込まれた。合唱とオーケストラが主体の曲。その深々とした、確信に満ちた演奏がすばらしい。そのような演奏でこの曲に出会えたことを幸運に思った。

 独唱陣は、キリエ、グローリア、クレド、サンクトゥス、ベネディクトゥスまではソプラノ、アルトとテノールだけ。最後のアニュス・デイで初めてバリトンが加わる。バリトンが加わることで独唱パートの色合いがガラッと変わったことがおもしろい。

 ソプラノのアリョーナ・カルペシュAlena Karpeshという歌手に注目した。歌唱がしっかりしていて、容姿も美しい。Operabaseを検索したら、マリインスキー劇場でドヴォルジャークの「ルサルカ」のタイトルロールの予定が出ていた。
(2018.5.4.東京芸術劇場コンサートホール)

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