Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

クラウス・フロリアン・フォークト

2018年04月15日 | 音楽
 先日、半休を取って、午後は国立西洋美術館で「プラド美術館展」を見て、夜は同美術館の向かいの東京文化会館でクラウス・フロリアン・フォークトのリサイタルを聴いた。

 フォークトのリサイタルは3月26日に引き続き2回目。今回はシルヴィア・クルーガーというソプラノ歌手とのデュオ・リサイタル。クルーガーという歌手は知らなかったので、事前にインターネットで検索したり、ナクソス・ミュージック・ライブラリーを覗いたりしたが、出てこなかった。

 先に種明かしをすると、フォークトの奥様だった。事情に疎いわたしは、リサイタルが始まってからも分からず、途中の休憩でトイレに行ったら、だれかが「ずいぶん可愛らしい奥さんだね」と言っている声が聞こえたので、えっと思った。事務局の方に尋ねると、「そうです」とのこと。たしかにそんな(自然な)雰囲気があったと、言われて初めて気がついた。

 プログラム前半は、まずブラームスの歌曲4曲。内訳は「49のドイツ民謡」から2曲と有名曲「日曜日」そして「子どもの民謡集」から1曲。「日曜日」を除いて、民謡からの編曲もの。

 芸術歌曲よりも民謡に比重を置いたプログラミングが、このリサイタルの性格を表している。ドイツの家庭で歌われるような素朴な歌。フォークトと(その奥様の)クルーガーとが、自宅で友人知人を招いて家庭音楽会を開くような、そんなリラックスした雰囲気があった。

 次にシューベルトの「美しき水車屋の娘」から3曲。正直言って、3曲では物足りなかった。フォークトの軽い声は、傷ついた若者の心を歌うにふさわしい声なので、全曲か、あるいはいっそのこと「冬の旅」を聴いてみたいと思った。

 再び「49のドイツ民謡」に戻って2曲と「甲斐なきセレナーデ」という軽い曲。前半の最後はカールマンのオペレッタから1曲。貴公子然としたフォークトでオペレッタを聴く贅沢! デュエットの相手が奥様なので、男の色気は自粛気味だった。

 後半はモーツァルトとプッチーニを各1曲、レハールのオペレッタから3曲、そしてロイド=ウェバーとバーンスタインのミュージカルから3曲。じつはこれらのオペレッタとミュージカルに期待していたのだが、フォークトは本気を出さなかったようだ。なお、アンコールの3曲は楽しかった。

 ピアノ伴奏はイェンドリック・シュプリンガー。積極的な表現に目を見張った。
(2018.4.11.東京文化会館小ホール)

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