Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

広上淳一/日本フィル

2014年07月13日 | 音楽
 広上淳一/日本フィルの東京定期1日目。ヴァラエティ豊かなプログラム。こういうプログラムは大好きだが、お客さんの入りはよくなかった。

 1曲目はモンテヴェルディの「オルフェオ」からトッカータ。演奏後プログラム・ノートを見たら、オーケストレーションは「アメリカの指揮者/教育者、モーリス・ペレス」の版とのこと。執筆は小沼純一氏。氏の「……かもしれない」という語句の多用にはどうもひっかかるのだが、さすがに押さえるべきポイントは押さえている。

 2曲目はデュティユーの「コレスポンダンス」。ソプラノ独唱は谷村由美子。2011年6月にバーバラ・ハンニガンの独唱、パブロ・ヘラス・カサド指揮N響が演奏した。あのときは「すごい歌手だ」と思った。その記憶が鮮明なため(か、どうか)、谷村由美子の独唱はおとなしく感じられた。

 オーケストラは面白かった。こんなに雄弁だったのかと再認識した。しかも聴きやすい音楽だ。2度目なのでよくわかった。この曲は2003年9月の初演。ということはデュティユー(1916‐2013)が87歳のときだ。驚くべき瑞々しさ。デュティユーの数多くの名作のなかにこれも含まれる、そういう曲だ。

 3曲目(前半最後の曲)はベルリオーズの序曲「海賊」。ベルリオーズの伸びやかな歌心とトリッキーなリズム処理が見事に表現された演奏。ステージは一瞬のうちにベルリオーズの世界に変身した。なお、音楽外のことだが、演奏が始まる前に、チェロ奏者が一人遅れてステージに入ってきた。

 休憩後の4曲目はプッチーニの「交響的奇想曲」。どういうわけか、件のチェロ奏者が登場しなかった。10人編成のチェロパートは9人で演奏。そのチェロ奏者は次の5曲目では登場した。どういうことか‥。

 「交響的奇想曲」という曲は知らなかった。ナクソスに収録されているので、事前に聴いてみた。腰が抜けるほど驚いた。初めて聴く人のために、種明かしは控えておくので、お楽しみに。この曲と次の同じくプッチーニの「マノン・レスコー」の第3幕への間奏曲では、広上淳一のプッチーニへの適性を感じた。

 最後の6曲目ストラヴィンスキーの「プルチネッラ」組曲では、2011年10月に広上淳一/日本フィルが演奏したリヒャルト・シュトラウスの「町人貴族」組曲を思い出した。演奏の仕上がりは「町人貴族」のほうが上だったような気がするが‥。
(2014.7.11.サントリーホール)

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