フランスの著名な美術史家・エミール・マール(1862-1954)の3部作と言えば『ロマネスクの図像学』(上下)、『ゴシックの図像学』(上下)、『中世末期の図像学』(上下)になりますが、先日最後に手に入れたのが『中世末期の図像学』でした。
まずもって興味深かったのが表紙の写真でした。私が予想したとおりですが、フィリップ大胆公の墓(ディジョン)の写真でした。昨年パリから東へ特急TGVで2時間ぐらい行ったところがディジョンでした。マスタードの名産地です。
この作品を訪ねようと思ったのは、当時ボーデ博物館館長のジュリアン・シャプュイさんからフィリップ大胆公の墓碑の写真集をいただいたからです。このカタログに魅了された連れ合いがパリに行くなら是非ここにも立ち寄りたいと言ったからでした。
そして裏表紙を見てまたまたびっくりしました。一目で作品を判別できました。トゥールーズから普通列車で45分のところにあるモアサックのサン・ピエール教会の彫刻「埋葬」でした。奇しくも私のパソコンの立ち上げ画面に現在使用している彫刻だったからです。
リーメンシュナイダー研究に先鞭を付けた、『リーメンシュナイダーの世界』の著者の植田重雄さんが残してくださった写真集にサン・ピエール教会の素晴らしいカタログがありました。モアサックを目差すきっかけになったものでした。
欲張って世界遺産カルカッソンヌに立ち寄ったため、モワサックのサン・ピエール教会には閉館ぎりぎりに到着することになりました。そして写真を撮りまくりました。教会内に安置されていたのが「埋葬」などで、ぎりぎりに撮影できました。私の写真もご覧ください。
現在、フランスのロマネスク期やゴシック期の彫刻家が気になっています。クラウス・スリューテルがその人で、「モーセの井戸」(ディジョン)が有名です。しかし、ディジョンまで行きながら、うっかり見損なってしまいました。来夏の宿題です。