疲れて帰って食欲も湧かない夜、暑くて調理にも火を使いたくない。
出来るだけ簡単に、でも栄養はちゃんと摂りたい、そしてお財布にも優しいお値段でって、そんなもの……あるんです!
それはお豆腐。
冷奴、どうやって食べる?
と訊かれたら、まず木綿派と絹ごし派に別れます。
木綿派は葱とかつお節、おろし生姜をのっけて醤油という人あれば、いや、かつお節はいらない、その代わりにだし醤油だ、という人あり。
醤油でもだし醤油でもどっちでもいいけど、胡麻油をタラリとかけたい人もあり。
一方、絹ごし派は、冷たい水に泳がせて、刻んだ青じそと紅葉おろしを添えてポン酢で食べるという人あり。
そして皆さん、自分の食べ方が王道だと仰る。
ちょっとちょっと皆さん、大事な夏の薬味を忘れちゃいませんか?
それは茗荷。
ふっくらコロンと可愛い形、恥じらうような紅色の、爽やかな風味の夏の薬味。
茗荷を食べると物忘れする、なんて言われたりもしますが、それは俗信。
自分の名前も忘れてしまうので名札をつけていたというお釈迦様のお弟子さんいて、死んでしまった後、彼のお墓に生えたので草冠に名を荷なうと書いて茗荷という名前がつけられたそうです。
仏の御加護を受けることを冥加といい、同音のめでたさからか、文様にもなっている茗荷。
酢の物に薄く切って和えても、爽やかな風味と香りがよく合います。
ハウス栽培でほとんどの野菜が年中出回っている今、茗荷も年中ありますが旬は夏と秋。
夏茗荷、秋茗荷といって、やはり旬の時期は香りも風味も良いのだそうです。