わくわく CINEMA PARADISE 映画評論家・高澤瑛一のシネマ・エッセイ

半世紀余りの映画体験をふまえて、映画の新作や名作について硬派のエッセイをお届けいたします。

フルCGアニメに挑戦した「よなよなペンギン」

2009-12-15 19:42:24 | 映画の最新情報(新作紹介 他)

Img201 日仏合作のフルCGアニメーション映画が誕生。それが、りんたろう原作・監督の「よなよなペンギン」(12月23日公開)です。主人公は、亡き父からもらったペンギンコートに身を包み、夜な夜な街を歩き回る少女ココ。ある夜、彼女はゴブリンの少年チャリーに導かれて地下世界のゴブリン村にスリップし、住民たちを闇の帝王ブッカ・ブー一味から救う任務を課せられてしまう、という物語。空を飛ぶことを夢見ている元気で明るい女の子をめぐって、東西の多彩な神話的キャラクターが登場し、活躍するのが見どころです。
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 りんたろう監督は、1960年、手塚治虫の虫プロ設立に参加。TVアニメ「鉄腕アトム」を皮切りに、「ジャングル大帝」などでチーフディレクターをつとめた。虫プロ退社後は、「銀河鉄道999」(79年)で劇場用長編映画を初監督。以後、「幻魔大戦」(83年)、「メトロポリス」(01年)などを発表。虫プロでのセルアニメ時代から、「メトロポリス」ではデジタル技術を取り入れ、今回はフルCGという具合にアニメーション技術の先端を走ってきた。そして「よなよなペンギン」では、「サマーウォーズ」などを手がけた製作会社マッドハウスと手を組んで、基本的には「動く絵本」のような作品を作りたかったそうです。
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 そこで、プロデューサー、デニス・フリードマンひきいるフランスのプロダクションと共同製作、加えてタイのプロダクションも参加。技術的には、日本アニメが50年来つちかってきたノウハウを活かし、フルCGの手法に挑戦。ピクサーに代表されるCGとは、ひと味ちがう日本的な感性を持つアニメ作りを目指した。でも、確かに「動く絵本」として見ると楽しい作品に仕上がっているけれど、いささかイメージの飛躍に乏しい。人形アニメをフル・デジタル3Dにしたアメリカ映画「コララインとボタンの魔女」(来年2月に日本公開予定)のイマジネーションの豊かさにくらべると、物足りない気がします。


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