[香港シネマ旅行:第2弾]
九龍半島海岸沿いのプロムナードでブルース・リーの銅像に出会ったのち、近くのスターフェリー乗り場から香港島へ。そして、セントラル中環の波止場のバス停からピーク・トラムの山麓駅へ。ピーク・トラムは2両編成のレトロなケーブルカーで、ヴィクトリアピークの山頂駅まで約8分。急な傾斜をのぼるケーブルカーなので、香港の超高層ビル群が傾いて見えるところがスリリング。いよいよ、名作「慕情」の舞台とされる丘の上に到着です。
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ヘンリー・キング監督の「慕情」(55年・写真)は、甘いメロドラマの名作。朝鮮戦争時代の香港を舞台に、夫が戦死した中国系の女医スーイン(ジェニファー・ジョーンズ)と、妻のいるアメリカの従軍記者マーク(ウィリアム・ホールデン)との純愛物語。最後は、マークが戦死して悲劇に終わるという型どおりのストーリーですが、脚本がしっかり書かれていて、ツボを押さえたセリフのやりとりで泣かせます。ふたりの逢い引きの場所が病院裏の丘の上で、そこがヴィクトリアピークとされている。その丘にはえた1本の木の下で、愛をささやくふたり。マークの戦死を知ったスーインが、哀しみの表情をたたえて、そこに立ちつくすラストシーンが印象的だった。また、旧ポルトガル植民地だったマカオも、ふたりのデート場所として登場しました(いまは、派手なカジノだらけになっているけど)。
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ピーク・トラムは、南国風の樹林をかきわけるようにして山頂駅へ。でも、あいにく雨と霧にけぶって、景色の展望も散策もままならず。わずかに、雲間から望見されるヴィクトリア・ハーバー周辺の高層ビル群の景観がロマンチックだった程度。えいッ、それならばと、ピークタワーの中華レストランで、おいしい昼食をとる。その後、アカデミー主題歌賞を得て大ヒットした美しい「慕情」のテーマ曲「Love is a Many Splendored Thing」を口ずさみながら、逆経路をたどって九龍半島へ帰還。流行の風邪も、雨もなんのその、楽しい香港シネマ旅となりました。
レトロなピーク・トラム