「007/カジノ・ロワイヤル」(06年)に続いて、「慰めの報酬」が公開中の6代目ジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグ。彼が、とってもいいですね。これまで映画ではハードボイルドな脇役として光っていたけど、本当はイギリスの演劇界では名優として知られた人。でも、そんなことはどうでもいい。渋い魅力を発揮、筋肉質の肉体で繰り広げるアクションが、なんとも素晴らしく、スカッとさせてくれます。ジェームズ・ボンドといえば、アストンマーティンに仕込んだ武器や、身につけたかずかずの小道具で戦うのが常識だったけど、クレイグ・ボンドの武器は、ひたすら肉体のみ。もちろんアクション・シーンにはCGが使用されているけれど、それは彼の肉体の躍動を強調するためなのだ。
過去にジェームズ・ボンドを演じたスターといえば、元祖ショーン・コネリーに続いて、ジョージ・レーゼンビー、ロジャー・ムーア、ティモシー・ダルトン、ピアース・ブロスナンといった面々だけど、なんといってもコネリーがダントツ。「ロシアより愛をこめて」(63年)、「ゴールドフィンガー」(64年)、「サンダーボール作戦」(65年)がベスト3で、なんど見たかわからない。あの怪異なまなざしと、強靭な肉体、寡黙さ、イギリス人特有の洒脱さ。それにくらべると、以後のボンドさんたちにはガックリ。その欲求不満を埋めてくれたのがダニエル・クレイグ。007映画は、わくわくするほどカッコよくなくっちゃ、ね。なお、「慰めの報酬」のラスト・クレジットには、次作に続くという文字が出てくるけど、クレイグによれば、あと2作、シリーズへの出演契約をしているが、それが実現するかどうかは未定だとか。そんなことを言わずに、もっともっとクレイグ・ボンドが見たい!