オダギリ ジョーの海外出演作品が2本待機しています。そのひとつ「プラスティック・シティ」(3月公開)は、中国・香港・ブラジル・日本の合作。監督は香港出身のユー・リクウァイ。ブラジルを舞台にしたクライム・ムービーで、オダギリは養父とともに闇稼業に暗躍する青年を好演。共演の養父役に、「インファナル・アフェア」シリーズの名優アンソニー・ウォン。猥雑なサンパウロ市の下町と、緑したたるアマゾンのジャングルを舞台に、オダギリの茫洋とした容姿がサスペンスフルで幻想的なドラマに生かされています。
もう1本は、韓国の鬼才キム・ギドク監督の「悲夢」(2月7日公開)。せつない夢に翻弄される男女の狂おしい愛を描いた作品で、オダギリの役は夢と現実の間をさまよう男。ギドク監督は、彼を「孤独を愛する人」と評しているが、この作品でもオダギリには幻想的で茫洋としたキャラクターがぴったり。どうやら海外の監督たちは、彼のつかみどころのない底深さに惚れこんでいるみたい。また、中国の田壮壮監督「狼災記」も待機中です。
ところで、彼の先輩格といえば浅野忠信。浅野の海外での近作は、タイ・オランダ・香港・韓国合作「インビジブル・ウェーブ」(06年)や、ドイツ・カザフスタン・ロシア・モンゴル合作の秀作「モンゴル」(07年)。彼の個性もスケールが大きくて強烈。外国語のセリフをマスターして、難なく国際舞台に進出しています。このふたりのように、日本の俳優たちには、もっともっとアジア各国の映画界に羽ばたいてほしいものです。