北の杜

ニセコ・羊蹄山麓に暮らす一級建築士の奮闘記

羊蹄山麓の医療の行方

2012年02月16日 | まちづくり
 昨年の8月に「倶知安町地域医療を育てる議員連盟」が結成されて、
毎月のように勉強会を開催してきました。
羊蹄山麓の中核病院であるJA倶知安厚生病院の夜間救急診療が医師に与える負担を軽減させようとニセコのスキー場エリアの事業者さんに外国のお客さんに対しコンビニ的な夜間受診を控えるようお願いを行うとともに地域のガイドブック「Wine&Dine」に英語や韓国語で病院利用のお願い文を掲載したり、地域医療のあるべき姿のレクチャーを受けたりといった活動を行ってきました。



 12月にJA倶知安厚生病院の本部組織であるJA厚生連より厚生病院の赤字支援として2億円の財政支援を羊蹄山麓の7ヶ町村に対して要請が行われました。
平成22年度分の財政支援要請で、今年で3年連続の要請となります。
また、平成24年度以降は、病院の赤字全額負担も要請されています。
これまで、平成21年に1億2千万円、22年に1億3千万円の補助を行ってきました。病院側も精神病棟を120床から60床に縮小したり、専門医不足に対して総合診療科体制に移行したりと対応しているものの救急医慮に対する医師の確保に札幌などからの出張医に依存する部分が赤字の大きな原因であるとの説明です。
 議会としては、厚生文教常任委員会が所管ですが、重大な局面を迎えようとしているため、議会として全議員で対応するべく『地域医療の確保に関する特別委員会』を設置しました。そこで、地域医療議連の活動は減少気味にして、特別委員会に集中することになっています。

 年が明けた1月10日に正副議長、地域医療特別委員会の正副委員長と地域医療議連の幹事長の私が町長室に呼ばれ、JA厚生連の役員と町長とのやり取りに立ち会いました。
山麓の7ヶ町村で2億円の支援要請に対して、救急医療分として1億4600万円支援する内容の協定書に対してJA厚生連は、2億円満額の支援と24年度からの赤字全額負担に対する回答がないとのことで判を押さず、再考を求めると白紙で協定書を返しにきました。さらに、このままであれば将来的に撤退もありえるといった強硬な姿勢でした。
JA厚生病院は、札幌厚生を含めて16の病院とクリニックで構成されており、札幌・旭川・帯広以外は全て赤字経営で、倶知安と網走以外は全て地元自治体から赤字分を補助してもらい、実質的に赤字なのは倶知安と網走厚生だけだそうです。しかし、16の病院全体では黒字であるとのことです。
現状の医療体制を維持したければ、地元の町村で赤字全額補填して欲しい。特に、病院所在地である倶知安町は補填の7割を負担しているが、その金額に見合う特別交付税が国から支払われているので、町としてもっと支援できるのではないか、町の誠意が見られないというのがJA厚生連の役員の主張でした。お金ではない、誠意を見せて欲しいと何度も主張していました。

 今回で3度目の支援となりますが、赤字は減ることはなく毎年増加しています。病院の改善策も効果はなく、患者も減少するばかりです。
医師確保ができないのが最大の原因で、医師が確保されれば改善するといっています。

 果たして、本当でしょうか。倶知安厚生病院は、全道でも医師に人気がない病院であるようです。4月には総合診療科の常勤医2名、非常勤医2名が病院を辞めるそうです。変わりに1名ずつ補充されるそうなので2名の減となりますが。更に、6月には院長まで辞めるそうです。

 お金だけではないというが、厚生連から○○な医療を展開していくので支援して欲しいといった話しではなく、このままでは赤字で大変だといった話しかありません。
北海道の部長さんに相談に行っても、厚生連側の意向を聞くばかりで、北海道としての医療体制維持の示唆もなく、地元の対応を見守る姿勢のようです。何のための北海道なのか?泊も近くにあるというのに。


 2月27日には、臨時議会が招集され、2億円の支援に向けた補正予算の提案がされる予定です。

 
 このまま財政支援を続けて行って、地域医療の未来は開けるのであろうか?支援にも限度がある。
地域医療に尽力してくれる体制でなければ、病院という施設があるだけの地域になってしまう。腹を括った決意が必要となってきています。

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1 コメント

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交渉 (町民)
2012-02-17 09:31:06
「お金じゃない、誠意を見せろ」とは・・・
やくざや無頼の常とう句でしょう!。

でも今の体制では厚生連側の意向へ流れて行くのでしょうね。

勝てはしないけど、負けない努力。
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