
先月19日に川田貞さんが亡くなられた。退職後、2003年に開いたジャズ喫茶「Lush Life」で下火になったジャズを盛り上げようと数多くのライブを開いた方だ。また、川田貞家のペンネームでジャズ批評誌に寄稿されていたのでご存知の方もおられるだろう。なかでも1982年の同誌46号に掲載されたソニー・スティット最後の演奏となった日本公演のレポートは、幅広い人脈から得た取材と文章の巧みさでドキュメンタリーを超えていた。
最後にお会いしたのは昨年の暮れだったろうか。「DAY BY DAY」を一緒に出て、それぞれの帰宅方向に別れた。小生より一回り上の大先輩だがとてもお元気だっただけに、ジャズ仲間からメールが届いたときは目を疑った。2016年に亡くなったジャズ喫茶「ジャマイカ」のマスター、樋口重光さんと一緒に1966年のコルトレーン来日公演を聴かれていて、生でしか分からないコルトレーンの魅力を教えていただいた。アメリカにも度々旅行されているので、日本では知り得ないジャズクラブ事情やジャズメンの動向を聞くのは楽しみだったし勉強にもなる。
マキシン・サリバンのコレクターとしても知られている人で、ジャズ誌で特集を組むときは声がかかった。マキシンがクロード・ソーンヒル楽団の専属になり、50万枚売れたと言われる「Loch Lomond」を吹き込んだのは1937年のことだ。87年に亡くなる前年に富士通コンコード・ジャズ・フェスティヴァルに出演しているので、ブランクがあるとはいえキャリアは相当なものだ。SP、EP、LPを合わせるとどのくらいの数になるのか想像もつかないが、コレクションした全てが愛聴盤だったに違いない。「こんなに歌の上手い人がいるのかと感心した」とおしゃっていたのを思い出す。
会場は静かにコルトレーンが流れていた。「マイ・アイデアル」と「A列車で行こう」の生演奏もあり、ライブが好きだった川田さんを追悼するに相応しい葬儀である。「ドームに付き合うから、一度温泉に付き合えよ」の約束を果たせなかったのが残念だ。今年いただいた年賀状に「1958年にジャズを聴き始めてから今年で61年を迎えます」とあった。ジャズを愛して、ジャズマンに愛された川田貞。享年76歳。合掌。
最後にお会いしたのは昨年の暮れだったろうか。「DAY BY DAY」を一緒に出て、それぞれの帰宅方向に別れた。小生より一回り上の大先輩だがとてもお元気だっただけに、ジャズ仲間からメールが届いたときは目を疑った。2016年に亡くなったジャズ喫茶「ジャマイカ」のマスター、樋口重光さんと一緒に1966年のコルトレーン来日公演を聴かれていて、生でしか分からないコルトレーンの魅力を教えていただいた。アメリカにも度々旅行されているので、日本では知り得ないジャズクラブ事情やジャズメンの動向を聞くのは楽しみだったし勉強にもなる。
マキシン・サリバンのコレクターとしても知られている人で、ジャズ誌で特集を組むときは声がかかった。マキシンがクロード・ソーンヒル楽団の専属になり、50万枚売れたと言われる「Loch Lomond」を吹き込んだのは1937年のことだ。87年に亡くなる前年に富士通コンコード・ジャズ・フェスティヴァルに出演しているので、ブランクがあるとはいえキャリアは相当なものだ。SP、EP、LPを合わせるとどのくらいの数になるのか想像もつかないが、コレクションした全てが愛聴盤だったに違いない。「こんなに歌の上手い人がいるのかと感心した」とおしゃっていたのを思い出す。
会場は静かにコルトレーンが流れていた。「マイ・アイデアル」と「A列車で行こう」の生演奏もあり、ライブが好きだった川田さんを追悼するに相応しい葬儀である。「ドームに付き合うから、一度温泉に付き合えよ」の約束を果たせなかったのが残念だ。今年いただいた年賀状に「1958年にジャズを聴き始めてから今年で61年を迎えます」とあった。ジャズを愛して、ジャズマンに愛された川田貞。享年76歳。合掌。
今週はマキシン・サリバンの「セントルイス・ブルース」から「イル・ウィンド」を選びました。1934年にコットン・クラブのショー「Cotton Club Parade」のためにテッド・ケーラーとハロルド・ アーレンのコンビが「Stormy Weather」の続編として書いた曲です。ヴォーカルでお気に入りをお寄せください。インストは機を改めて話題にします。
管理人 Ill Wind Vocal Best 3
Maxine Sullivan / St. Louis Blues (RCA)
Ella Fitzgerald / At The Opera House (Verve)
Sarah Vaughan & The Count Basie Orchestra / Send In The Clowns (Pablo)
他にもビリー・ホリデイをはじめフランク・シナトラ、ダイナ・ワシントン、アーネスティン・アンダーソン、マリリン・ムーア等々、多くの名唱があります。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
Lonette McKee Ill Wind (The Cotton Club Movie)
https://www.youtube.com/watch?v=jaShvVW1w5U
ロネット・マッキーは「ラウンド・ミッドナイト」にも出ていました
こんばんは、dukeさん。
日本のジャズ黎明期から現場者として接してきた諸先輩方のお話は、私には1人のミュージシャン、1枚のエルピーを更に豊かに艶やかに輝かせ、心を騒がせます。
真夜中に聞いたモンクのミッドナイト、OPの会場の温度、ジュニア・クックの素晴らしさ等、ワクワクします。dukeさんからはご健在(失礼)のうちにまだまだ話を聞きださなければならない権利が遅刻者の若輩リスナーにはあるのです、最低限の礼儀と最大限の敬意を持って。
Great Songs From The Cotton Club / Maxine Sullivan (Stash)
At The Opera House / Ella Fitzgerald (Verve)
Send In The Clowns / Sarah Vaughn & The C.Basie Orch. (Pablo)
マキシンは晩年のを挙げさせていただきました、晩年とはいえ創始の艶やかさに息を飲みます。
ほぼ同順になりましたが聞き続けた結果です。
サラのは大好きな盤ですが、エラの巧さを忘れさせる単純な歌の力がみなぎった様に改めて惹きつけられました。
図々しく甘えさせてもらい、私の嗜好ベストを
May The Music Never End / Shirley Horn (Verve)
I’ve Got A Right To Sing The Blues / Sir Roland Hanna-Carrie Smith (IPO)
I Remember The Bing / Herb Jeffries (Dobre)
なんも考えずに、うん、好きっといえる3枚です。
この数試合を見る限り助っ人外国人は課題が多いですね。開幕まで時間がありますので調整してほしいものです。昨年までいたクリス・マーティンのような活躍をみたいものです。マーティンはススキノで2度見かけましたが、顔が小さいのに驚きました。ボークをとられて審判に噛みついたりで態度はデカかったけどね(笑)
学生のころジャズを聴いたという人は大勢おりますが、生涯愛聴される方は少ないですね。私はまだまだ若輩ですので、川田さんのような先輩に色々と聞きたいです。
トップにマキシンのコットンクラブがきましたか。レコードで買ったような気がしますので、探してみましょう。歌うごとに深みが増すのがマキシンの魅力といえましょう。
エラとサラは挙げるのがおこがましい大定番ですが、この曲を歌うならこれがお手本です。オペラハウスという函はエラのためにあったのかというライブに、「no good」の歌い回しにしびれるサラ、納得の2枚です。
シャーリー・ホーンはまずジャケットがいい。サングラスのマイルスと並んだら最高でしょう。
キャリー・スミスは持っていませんが、ハナとのデュオかな。どこだかのセッションで、「夜のブルース」のバッキングをこう弾いてと言っていた女性がいました。
ハーブ・ジェフリーズは聴いていません。その昔、女性シンガーと思い込みネグリジェ・ジャケットに騙されて買いました(笑)
最近、東京出張の際にジャズクラブに寄っていますが、演奏は様々なので、改めてジャズ喫茶・バーで往年の名盤を聴くのがよいなと思っています。「Ill Wind」ですが、E・アンダーソンを挙げてみました。
Ernestine Anderson / Hot Cargo (Metronome)
Maxine Sullivan / St. Louis Blues (RCA)
Ella Fitzgerald / At The Opera House (Verve)
この曲は難しめかもしれません(村山陸男著ジャズ詞大全を読みました)。ブリッジのハ長調でいうと、上のレと下のレを行き来しなければならず、ゆっくりとレイジーに歌うのも大変だと思いました(スタンダート・ジャズのすべての楽譜を見ています)。
そういう点では、アーネスティン・アンダーソンのものが楽譜に忠実でゆっくり歌い、雰囲気も出ていて好感がもてました。マキシン・サリヴァンのものは、ややテンポが早いですが、ぱきぱきとして、いかにも風を吹き飛ばしそうで、よいです。エラもさすがで、ピーターソンの伴奏も印象的です。他にも手持ちのものをいくつか聴きましたが、もう一つなので、この3つで。
東京のジャズクラブを歩かれているようですね。ジャズクラブで生を見るのもよし、ジャズ喫茶の大音量に浸るのもよし、ジャズバーでロックグラスを揺らしながら唸るのもよしです。どんな場所でもジャズは楽しいですね。
トップにアーネスティン・アンダーソンがきましたか。ジャズ詩大全で「テンポは遅く、けだるくねばっこく歌わなければならない」と言っていますので、アーネスティンは忠実です。アレック・ワイルダーもこの曲を褒めていました。
次にマキシン・サリバン、逆風に負けない勢いがあります。アレンジはさすがに古くさいですが、歌のセンスは現代に通じるものがあります。
そしてエラ、こちらもゆったりとしたテンポで歌詞をじっくり味わえます。ピーターソンの歌をじゃましないバッキングもさすがです。
Ill Wind Vocal Best 3
Maxine Sullivan / St. Louis Blues (RCA)
Ella Fitzgerald / At The Opera House (Verve)
Sarah Vaughan & The Count Basie Orchestra / Send In The Clowns (Pablo)
多くの投票はいただけませんでしたが、定番の3枚が人気でした。他にもマキシンの1984年録音盤「Great Songs From The Cotton Club」や、アーネスティン・アンダーソンが挙がりました。逆風に負けない力強い歌唱です。今宵はお気に入りのイル・ウィンドをお楽しみください。