
キティ・ケリー著「ヒズ・ウェイ」(文藝春秋刊)にこんな一節がある。「おれはけんかの仕方を心得ている。アマチュアのボクサーだったんだ。バーなんかで寄ってたかってフランクを痛めようってやつらがいると割って入ってぶちのめしてやったもんだ・・・フランクがあぶれていると、おれがクラブの仕事をとりつけ、ついていって伴奏してやった。おれは信じていた、だれかがフランクを買ってくれるのは時間の問題だってね」・・・
フランクとはシナトラのことだ。では、腕っぷしの強い用心棒で、マネジメントをこなし、ピアノも弾けるのは誰か?同書では愛称の「ハンク」と書かれているヘンリー・サニコラである。優しい笑顔でシナトラをガードする写真が同書に載っているが、シナトラ同様シチリアの血が流れているので相当荒っぽかったようだ。サニコラといえばソル・パーカーと共同で1941年に作曲したナンバーに「This Love Of Mine」がある。シナトラが初めて作詞した曲で、彼をフューチャーしたトミー・ドーシー楽団の演奏は、多くのバンドやシンガーが手本とするものだ。共作とはいえ強面が書いたとは思えないほどメロディは美しい。
モダン期に入っても人気のある曲で、ベニー・グリーンがブルーノート最後の作品「Walkin' And Talkin'」で取り上げている。J.J.ジョンソン、カーティス・フラーに次ぐBNのトロボーン奏者だが、前二者と大きく違うのはビバップ以前のスタイルから出発している点だ。BNデビュー盤「Back on the scene」と次作「Soul Stirrin’ 」はライオンの人選による作品でレーベルの路線に沿った形だが、こちらはグリーンのレギュラーバンドによって録音されているのでよりスタイルが鮮明になっている。当時、ハードバップの波に乗り遅れているオールドファンの琴線をくすぐった作品かもしれない。
・・・そのだれかがハリー・ジェームスだった、と続く。グッドマンのもとを去り自分の楽団を結成したハリーが、ちょうど歌手を探していたときラジオでシナトラを聴き、翌晩じかに見ようと出かけた。シナトラはハリーが幹線道路沿いのけちなクラブなんぞにやってきたとは信じられなかったし、ハリーもラジオで聴いた歌手がただのウェイターとは信じられなかったという。「たった八小節聴いただけで首筋が総毛立ってきた」とハリーは言った。世紀のエンターテイナーのデビューである。
フランクとはシナトラのことだ。では、腕っぷしの強い用心棒で、マネジメントをこなし、ピアノも弾けるのは誰か?同書では愛称の「ハンク」と書かれているヘンリー・サニコラである。優しい笑顔でシナトラをガードする写真が同書に載っているが、シナトラ同様シチリアの血が流れているので相当荒っぽかったようだ。サニコラといえばソル・パーカーと共同で1941年に作曲したナンバーに「This Love Of Mine」がある。シナトラが初めて作詞した曲で、彼をフューチャーしたトミー・ドーシー楽団の演奏は、多くのバンドやシンガーが手本とするものだ。共作とはいえ強面が書いたとは思えないほどメロディは美しい。
モダン期に入っても人気のある曲で、ベニー・グリーンがブルーノート最後の作品「Walkin' And Talkin'」で取り上げている。J.J.ジョンソン、カーティス・フラーに次ぐBNのトロボーン奏者だが、前二者と大きく違うのはビバップ以前のスタイルから出発している点だ。BNデビュー盤「Back on the scene」と次作「Soul Stirrin’ 」はライオンの人選による作品でレーベルの路線に沿った形だが、こちらはグリーンのレギュラーバンドによって録音されているのでよりスタイルが鮮明になっている。当時、ハードバップの波に乗り遅れているオールドファンの琴線をくすぐった作品かもしれない。
・・・そのだれかがハリー・ジェームスだった、と続く。グッドマンのもとを去り自分の楽団を結成したハリーが、ちょうど歌手を探していたときラジオでシナトラを聴き、翌晩じかに見ようと出かけた。シナトラはハリーが幹線道路沿いのけちなクラブなんぞにやってきたとは信じられなかったし、ハリーもラジオで聴いた歌手がただのウェイターとは信じられなかったという。「たった八小節聴いただけで首筋が総毛立ってきた」とハリーは言った。世紀のエンターテイナーのデビューである。
シナトラの決定的名唱で知られる「ジス・ラヴ・オブ・マイン」は、メロディが美しいこともありインストでも多くのプレイヤーが取り上げております。今週はインストでこの曲のお気に入りをお寄せください。ヴォーカルは機を改めて話題にします。
管理人 This Love Of Mine Best 3
Kenny Dorham / Jazz Contemporary (Time)
Bennie Green / Walkin' And Talkin' (Blue Note)
Elvin Jones / Dear John C. (Impulse)
他にもソニー・ロリンズをはじめカウント・ベイシー、エディ・ヒギンズとスコット・ハミルトン、モカンボ・セッションの守安祥太郎等々、多くの名演があります。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
Bennie Green - This Love Of Mine
https://www.youtube.com/watch?v=DnOJohxima4
バックにビッグネイムはおりませんが、伸び伸びとしたいい演奏です。
これが紅井みどりさんの本領かもしれません。
この曲はヴォーカルものをあまり聴かない僕も、アル・ヒブラーで聴いてその印象が強くあります。
カークの盤とホッジスのノーグラン盤(ダンス・バッシュ)
インストは、最近、拙ブログで紹介しました、ドーハムのタイム盤が一番で挙がっていて、とても嬉しいです。
他の2枚もまったく同感です、素晴らしですね。
ドーハム盤はドーハムもですが、チャールス・デイビスのバリサクとスティーブ・キューンのピアノがよかですね。
みどりさんもとてもリラックス出来る演奏ですね、僕はピアノのマホネスもテナーのエディー・ウイリアムスも良いと思います。
でも、ジョージ・タッカーですから、これが一番でも良いかもしれません(笑)
エルヴィンの盤もこれはマリアーノでしょう、よかです!
Sonny Rollins With The Modern Jazz Quartet (Prestige)
これも良いのですが次点で
この曲は貴ブログをヒントに選びました。アル・ヒブラーは得意としていたようですね。意外に知られていないのはアンチェインド・メロディを最初にヒットさせたのはヒブラーです。
今回選んだ3枚は甲乙付けがたい内容です。あとはプレイヤーの好みだけでしょうか。ドーハムはチャールス・デイビスがいいですね。それにジャケが素晴らしい。
みどりさんのはマホネスだか、マホーンズだかよく分からない発音のピアノと、ジョージ・タッカーがキレのあるいいプレイをしております。
エルヴィンはマリアーノに尽きますね。メンツを見たときミスマッチ感がありましたが、演奏は一体感があります。
ロリンズは短い演奏ながらツボをおさえております。さすがです。最近のプレイヤーはダラダラと垂れ流しのソロが多いだけに緊張感があります。
来週はいよいよ直接対決ですね。西武戦3連勝で勢いが付いておりますので、今度は負けませんよ。
今週は出張と飲会が続き、遅い投稿となってしまいました。この曲は、ヴォーカルは結構あったものの、インストはほとんど手持ちにありません。ベニー・グリーンは、贔屓のトロンボーン奏者だけに、彼の演奏も捨てがたいんのですが、ロリンズのプレイがなんといっても素晴らしい。
①Sonny Rollins With The Modern Jazz Quartet (Prestige)
②Bennie Green / Walkin' And Talkin' (Blue Note)
③Elvin Jones / Dear John C. (Impulse)
今まで挙がっていないものでは、Spike Robinson/A Real Corker(Capri)もありました。この曲に関していはまずまずでしょうか。
宴会でお忙しいなかコメントありがとうございます。昨夜は札幌ドーム・ビール半額デーでしたので飲みすぎました。負け試合でしたので悪酔いしました。まだ酒が残っておりますが、懲りずに今日も試合に行きます(笑)
トップにロリンズがきましたか。私は柔らかい曲調ですので、敢えてロリンズを外しましたが、内容は申し分ありません。
次いでグリーンにエルヴィン、ともにアルバム全体まとまりがあり素晴らしいアルバムです。
スパイク・ロビンソンがありましたか。持っておりませんので試聴しましたらレッド・ミッチェルが良い音で鳴らしておりますね。探してみましょう。
This Love Of Mine Best 3
Kenny Dorham / Jazz Contemporary (Time)
Bennie Green / Walkin' And Talkin' (Blue Note)
Sonny Rollins With The Modern Jazz Quartet (Prestige)
この3枚とエルヴィン・ジョーンズは、どれがトップに挙がっても不思議のない素晴らし演奏です。あまりインストでは取り上げられない曲ですが、レパートリーにしているプレイヤーの意気込みを感じます。
今宵はお気に入りのジス・ラヴ・オブ・マインをお楽しみください。