
映画「ギフテッド」を観た。「gifted」という原題通り、天才的な数学の才能を持つ少女を軸にした物語だ。笑いあり涙ありの王道をいく映画で、なかなかよく出来ている。どこぞのこましゃくれた子役とは違って天才少女を演じたマッケンナ・グレースの演技力は見事で、その上キュートだ。監督は数々のミュージックビデオを手掛けたマーク・ウェブだけあり、歌って踊るシーンは唸る。
ジャズ界を見渡せばギフテッドばかりなので、アルバムタイトルから「The Gifted Ones」を選んだ。ノーマン・グランツお得意のビッグネイムの組み合わせである。パブロの企画物はヴァーヴ時代のリメイク感が拭えないものの、やはりグランツでなければ出来ないセッションなのだ。録音はフュージョンが落ち着き、VSOPやGJTという大型コンボやスコット・ハミルトンが登場した1977年である。ミュージシャンもリスナーも電化されたジャズに忽ち飽き、アコースティックでスウィングするジャズ本来の魅力を再認識した時代に相応しい作品といえる。
ベイシーは73歳で、ガレスピーは60歳だ。片やスウィング時代を生き抜き、片やバップシーンをリードしたジャズの天才である。ほとんどの曲がガレスピー、またはベイシーとの共作でジャズ人生を語り合うかのような喜怒哀楽のメロディーが並ぶ。スタンダードは「St. James Infirmary Blues」が収録されている。ガレスピーが抑えるようにゆっくりと吹きはじめ、ベイシーの心地良いフレーズが続き、レイ・ブラウンの骨っぽいソロがアクセントになり、再びガレスピー登場だ。今度はバッパーらしく派手な音で盛り上げる。ミッキー・ロッカーの淡々と刻む端正なビートが微笑ましい。
ネタバレになるので詳しく書けないが、「ポアンカレ予想」や「ナビエ・ストークス方程式」が出てくる。心得がある方はニヤリとするかも知れない。圧巻は天才少女がマサチューセッツ工科大学で、学生が黒板に書いた数式の欠陥を指摘して、尚且つその証明を解くシーンだ。子どもらしく字が曲がった数式ではあるが、世界一美しい数式と言われている「オイラーの等式」よりも美しく見えた。
ジャズ界を見渡せばギフテッドばかりなので、アルバムタイトルから「The Gifted Ones」を選んだ。ノーマン・グランツお得意のビッグネイムの組み合わせである。パブロの企画物はヴァーヴ時代のリメイク感が拭えないものの、やはりグランツでなければ出来ないセッションなのだ。録音はフュージョンが落ち着き、VSOPやGJTという大型コンボやスコット・ハミルトンが登場した1977年である。ミュージシャンもリスナーも電化されたジャズに忽ち飽き、アコースティックでスウィングするジャズ本来の魅力を再認識した時代に相応しい作品といえる。
ベイシーは73歳で、ガレスピーは60歳だ。片やスウィング時代を生き抜き、片やバップシーンをリードしたジャズの天才である。ほとんどの曲がガレスピー、またはベイシーとの共作でジャズ人生を語り合うかのような喜怒哀楽のメロディーが並ぶ。スタンダードは「St. James Infirmary Blues」が収録されている。ガレスピーが抑えるようにゆっくりと吹きはじめ、ベイシーの心地良いフレーズが続き、レイ・ブラウンの骨っぽいソロがアクセントになり、再びガレスピー登場だ。今度はバッパーらしく派手な音で盛り上げる。ミッキー・ロッカーの淡々と刻む端正なビートが微笑ましい。
ネタバレになるので詳しく書けないが、「ポアンカレ予想」や「ナビエ・ストークス方程式」が出てくる。心得がある方はニヤリとするかも知れない。圧巻は天才少女がマサチューセッツ工科大学で、学生が黒板に書いた数式の欠陥を指摘して、尚且つその証明を解くシーンだ。子どもらしく字が曲がった数式ではあるが、世界一美しい数式と言われている「オイラーの等式」よりも美しく見えた。
「Blues」を付けず「St. James Infirmary」と表記されることが多いこの曲の原曲はアイルランド民謡と言われております。1928年にルイ・アームストロングが録音したことで一躍有名になりました。今週はこの曲のお気に入りをインストでお寄せください。ヴォーカルは機を改めて話題にします。
管理人 St. James Infirmary Best 3
Red Garland / When There Are Grey Skies (Prestige)
Count Basie & Dizzy Gillespie / The Gifted Ones (Pablo)
Jimmy Smith / Monster (Verve)
他にもエロール・ガーナーやアーチー・シェップ、ジュニア・マンス、ニコラス・ペイトン等々、多くの名演があります。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
『gifted/ギフテッド』予告編
https://www.youtube.com/watch?v=mv4vT3uVYwg
Saint - James Infirmary - Trad. / Primrose. Take II
https://www.youtube.com/watch?v=f3yhT0xPT5I
フランスのハーモニカ・クイーン、クリステル・ベルソン。腕のタトゥーが気になります。
Allen Toussaint / The Bright Mississippi (Nonesuch)
Archie Shepp & Horace Parlan / Trouble In Mind (Steeplechase)
Red Garland / When There Are Grey Skies (Prestige)
いわゆるジャズマン扱いではないですが、ニューオリンズ音楽の偉人賢人アラン・トゥーサンの美しい「ジャズアルバム」。音楽の都の祝祭(や葬儀)の雰囲気がSt. James Infirmary曲の本質を醸し出している気がします。
シェップ&パーランは、1960年代の二人の録音からだと意外な組み合わせかもですが、さすがブルース的な相性ピッタリ。もの悲しいメロディのうらぶれ感が私はクセになってます。
レッド・ガーランドはさすがにエレガント。未だに有名な「Groovy」を持ってないのに、このアルバムは愛聴しています。
黒人音楽愛好家としてはまっさきにBobby Blandの名唱が浮かぶこの曲。浅川マキも歌ってましたね。Dizzy & Basie版も欲しいなぁ。
映画「ギフテッド」はおすすめです。予告編で期待して裏切られた映画を今年は何本も観ましたが、こちらは大丈夫です。
アラン・トゥーサンがトップにきましたか。持っていませんので頭だけですが試聴しました。雰囲気ありますね。探してみましょう。
次にシェップ&パーラン、おっしゃるように意外な組み合わせですし、1960年代の二人からは考えられないスタイルです。70年代の荒波を乗り越えただけのことはあります。かつてのシェップを知る耳には物足りなさもありますが、本質はここなのでしょう。
そしてレッド・ガーランド。サッチモやジャックTで有名な曲ですが、ガーランドでこの曲を知った人は多いはずです。ガーランドのブロックコードとシングルトーンも魅力ですが、何といってもこの曲の最大の聴きどころはチャーリー・パーシップのブラッシュの入るタイミングに尽きます。コンマ何秒ずれてもこのグルーヴ感は出ないでしょう。このアルバムはこの1曲、もっと言うなら、この一瞬のブラッシュを聴くためだけに持っていたいレコードです。
冬型のお天気の関東、晴れ日が続いております。ですが・・・山のお天気は判りません!富士山見たさの山歩きは雪の中の行軍、近傍の山は真冬でした。
トラッドの方々、スウィング派中間派の方々皆さん唄ってます・・・
Red Garland / When There Are Grey Skies (Prestige)
*ヤッパリ名演!
Live at the 1990 Concord Jazz Festival: First Set(Concord)
*A・グレイがお得意ワーワーミュートで演ってます。お題曲を十八番にしている様です。
Junior Mance/Harlem Lullaby (atlantic)
*マンスのハープシコードが聴けます。
おまけ
All Star Jazz Concert /Steve Allen - The Lawson Haggart Jazz Band(Jasmine)
*棺の後で、葬式バンドがお題曲を演って居る雰囲気が醸しだされてます。とても良い感じ!
取引?
若いサッチモが1928年にお題曲を演ってます。素晴らしい演奏です。その後サッチモはお題曲をやってるのか?
1947年のサッチモ盤「At TownHall Concert盤」ではビッグTにお題曲を譲っている様ににも思えます。テーガーデンと取引の匂いが?
昨夜はDAY BY DAY のオープンマイクでした。今年最終ということもあり皆さんよく歌っておりました。
トップにガーランドがきましたね。ダラスに帰る前の最後の録音ですので、去来するものがあるのでしょう。センチメンタルになります。
コンコード盤は聴いていませんが、豪華メンバーで楽しい演奏を繰り広げていることでしょう。アル・グレイは自身のリーダー作でも取り上げていたような気がします。
そしてジュニア・マンス。ピアノでしたら私も高得点を付けるところですが、ハープシコードは迫力に欠けます。エロール・ガーナーもハープシコードを弾いたレコードがありますが、いまいちでした。
スティーブ・アレンはアレンジが面白そうですね。
いち早くこの曲を取り上げたのはサッチモですが、いつの間にかジャックTの持ち歌になったようです。ジャックTにはまったので譲ったのかも知れません。今年流行った「忖度」ということですね。
セント・ジェームズ病院は、ヴァージョンの手持ちがほとんどなく、3つ挙げるのが精一杯です。この曲に関してはガーランドで覚えたので、トップは決まりです。
Red Garland / When There Are Grey Skies (Prestige)
Bob Mintzer / Bop Boy (Pony Canyon)
Catrsten Dahl / God Bless The Child (Marshmallow)
レッド・ガーランドの演奏を聴いていると、唯一無二のスタイルといってもよく、偉大なスタイリストだと思えてきます。この曲の曲想にピッタリの演奏です。ボブ・ミンツァー(bcl)は、バスクラとピアノ(スティーヴ・キューン)の演奏ですが、心に染みてくる美し演奏かと。3つ目は、カーステン・ダール(p)とボブ・ロックウェル(ts)の共演を。ロックウェルの音色、演奏がダークでブルーな雰囲気を出しています。
やはりジャズ喫茶世代はガーランドですね。ソニーボーイ、マイ・ハニー、セント・ジェームスというA面全体の流れが素晴らしいレコードです。
ボブ・ミンツァーがありましたね。イエロージャケッツは積極的に聴きませんが、これはいい内容です。プロデューサーとしても中村照夫さんが光ります。
カーステン・ダールは聴いていません。ブックオフの500円棚にあったような気がします。探してみましょう。
St. James Infirmary Best 3
Red Garland / When There Are Grey Skies (Prestige)
Archie Shepp & Horace Parlan / Trouble In Mind (SteepleChase)
Live at the 1990 Concord Jazz Festival: First Set (Concord)
この曲をモダン期に蘇らせたガーランドがダントツでした。決定的名演ですので、これに次ぐものは割れましたが、それぞれ個性あふれる演奏ばかりです。今宵はお気に入りの「セント・ジェームス病院」をお楽しみください。