goo blog サービス終了のお知らせ 

デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ザ・ピーナッツとあの時代

2016-07-24 09:27:20 | Weblog
 昭和を代表するテレビのバラエティー番組に「シャボン玉ホリデー」がある。放送開始は昭和36年だ。主役は当時ナベプロが売り出していた双子のザ・ピーナッツで、ハナ肇とクレージーキャッツが脇を固めていた。多彩なゲストを交え、歌やトーク、コントという構成はその後の同種の番組のお手本になっている。番組の最後にザ・ピーナッツが歌う「スター・ダスト」でポピュラーソングの魅力に触れた人もいるだろう。

 ザ・ピーナッツの妹の伊藤ユミさんが、5月18日に75歳で亡くなった。姉のエミさんは2012年に亡くなっているので今頃天国で一緒に歌っているのかも知れない。昭和34年に「可愛い花」でレコードデビューしてから引退する昭和50年までトップスターだった。双子ならではのバランスがとれた美しいハーモニーは勿論のこと、歌唱力は今時のぽっと出のアイドルでは足元にも及ばない。また提供される楽曲も洗練されたもので、これも来年になったら忘れられている最近のどれも同じに聴こえる曲とは格段の差がある。半世紀経った今でもザ・ピーナッツのヒット曲が歌い継がれているのはそこにある。

 その実力は海外でも高く評価され、ドイツではEP盤が発売されている。それも1枚や2枚ではない。1964年から68年にかけて8枚もリリースされているのだ。しかもヒット曲にドイツ語の歌詞を付けた安易なものではなく、楽曲はドイツの作曲家のオリジナルであり、バックバンドはドイツの一流ミュージシャンだ。写真はそのEP盤の音源をCD化したもので、日本で録音したドイツ語の曲とドイツの放送で使われた音源も収録されている。ドイツ語の発音はよくわかないが、おそらくネイティブに近いものだろう。日本語、英語、ドイツ語、どの国の言葉で歌ってもあの完璧なハーモニーは変わらない。

 二人が彗星の如く現れた昭和34年は「週刊少年マガジン」と「週刊少年サンデー」が同時創刊された年で、小型車の代名詞となる「ブルーバード」が日産自動車から発売されている。また、第1回レコード大賞が開催された年で、カラーテレビが登場した年でもある。伊藤ユミさんと前後して永六輔さんと大橋巨泉さんも亡くなった。テレビ文化を育てた人たちである。ご冥福をお祈りするとともに昭和の良い時代に生まれたことに感謝したい。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする