長年ジャズを聴いていると初めて耳にするアルバムでも誰が演奏しているのかわかるようになる。必ずしも当たるとは限らないが、たとえ外れていたとしてもそのプレイヤーと同じスタイルの名前が出てくるものだ。当たらずとも遠からずである。それと同じように写真が好きな方は、初見で写真家がわかるという。被写体やアングルの特徴、また照明や露出等、ジャズプレイヤーと同じで独自のスタイルがあるからだろう。
このジャケット写真を撮ったのは?写真の門外漢でも名前を知っている南アフリカ出身の写真家サム・ハスキンスだ。代表作といわれる「Cowboy Kate」や「Haskins Posters」は今でも人気だという。裸電球の下で両手を縛れているようにも見える妖しい写真だ。拷問か?苦痛が快感に変わったのだろうか、アルバム・タイトルの「More Smiles」の如く笑っているようにも映るのはクラーク・ボラン・ビッグ・バンドの作品だ。前作のエマニエル夫人のようなジャケット「All Smiles」に次ぐスタンダード集で、国際色豊かなメンバーがボラーンのソロイストが一番映えるアレンジで目眩くソロを繰り広げている。
スタンダード集といっても大スタンダードではなく、あまり演奏されない曲、それでいて魅力的なメロディを持つものばかりが選ばれている。それはケニー・クラークにとっては懐かしいものであり、フランシー・ボランの耳には新鮮に聴こえるのかもしれない。アルバム・トップは「マイ・ファニー・バレンタイン」や「ザ・レディ・イズ・ア・トランプ」といった名曲が生まれたミュージカル「ベイブス・イン・アームス」の1曲である「ジョニー・ワン・ノート」だ。ソロを取るのはジョニー・グリフィンで、50年代のアメリカの演奏はパワーで押す印象が強かったが、62年にヨーロッパに渡り空気が馴染んだせいかソロも洗練されておりビッグ・バンドに溶け込んだ協調性も聴きどころだろう。
サム・ハスキンスの写真は、モノクロの陰影やデザインを考慮した照明等、ヌード写真であっても安っぽくなく、写真の世界を知らない人をも惹き付ける。一流の技術というのはその分野の素人に魅力を伝えることかもしれない。ジャズも同じだ。クラーク・ボラン・ビッグ・バンドのアレンジとソロは普段ジャズに馴染みのない人にジャズとは何か、そしてビッグバンドの魅力とは、を確実に伝える力がある。
このジャケット写真を撮ったのは?写真の門外漢でも名前を知っている南アフリカ出身の写真家サム・ハスキンスだ。代表作といわれる「Cowboy Kate」や「Haskins Posters」は今でも人気だという。裸電球の下で両手を縛れているようにも見える妖しい写真だ。拷問か?苦痛が快感に変わったのだろうか、アルバム・タイトルの「More Smiles」の如く笑っているようにも映るのはクラーク・ボラン・ビッグ・バンドの作品だ。前作のエマニエル夫人のようなジャケット「All Smiles」に次ぐスタンダード集で、国際色豊かなメンバーがボラーンのソロイストが一番映えるアレンジで目眩くソロを繰り広げている。
スタンダード集といっても大スタンダードではなく、あまり演奏されない曲、それでいて魅力的なメロディを持つものばかりが選ばれている。それはケニー・クラークにとっては懐かしいものであり、フランシー・ボランの耳には新鮮に聴こえるのかもしれない。アルバム・トップは「マイ・ファニー・バレンタイン」や「ザ・レディ・イズ・ア・トランプ」といった名曲が生まれたミュージカル「ベイブス・イン・アームス」の1曲である「ジョニー・ワン・ノート」だ。ソロを取るのはジョニー・グリフィンで、50年代のアメリカの演奏はパワーで押す印象が強かったが、62年にヨーロッパに渡り空気が馴染んだせいかソロも洗練されておりビッグ・バンドに溶け込んだ協調性も聴きどころだろう。
サム・ハスキンスの写真は、モノクロの陰影やデザインを考慮した照明等、ヌード写真であっても安っぽくなく、写真の世界を知らない人をも惹き付ける。一流の技術というのはその分野の素人に魅力を伝えることかもしれない。ジャズも同じだ。クラーク・ボラン・ビッグ・バンドのアレンジとソロは普段ジャズに馴染みのない人にジャズとは何か、そしてビッグバンドの魅力とは、を確実に伝える力がある。