デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ジーン・ハリスの顔施

2009-01-04 08:10:11 | Weblog
 皆様、あけましておめでとうございます。昨年は多くの方にご覧いただき、またコメントも多数お寄せ頂き感謝申し上げます。4年目に入ったアドリブ帖ですが、今年も名盤、珍盤、希少盤の数々から選りすぐりのアルバムを紹介していきます。今年も昨年同様、毎週日曜日更新を目標にしておりますので、忌憚のないご意見をお待ちしております。1枚のアルバムから広がるジャズ・ワールドをお楽しみいただければ幸いです。
 
 今年も全国各地の初詣の模様がテレビに映し出される。初詣は一年の無事と平安を祈る行事で、絵馬に願い事や目標を書いたり、おみくじを引く参拝客で各地の社寺は賑わいをみせていた。景気の良いときは賽銭箱に札束も見受けられたが、不況を反映しているのだろうか小銭が多いという。さて、小銭の持ち合わせがなく万札を賽銭箱に投入するには少々躊躇いがあったり、財布を忘れたときはどうするか。にこやかな表情で参拝するだけでご利益があるという。仏教の六波羅蜜のひとつ和顔施で、笑顔を振りまくこと、それ自体がひとつのお布施になるのだそうだ。

 顔施とも呼ばれる参拝をしているのはスリー・サウンズのリーダー、ジーン・ハリスで、スリー・サウンズ解散後、第一線から退いていたハリスがコンコードに吹き込んだ復帰後の作品である。ゴスペルを基調にしたピアノ・スタイルは、ブルージーでスウィンギー、そして徹底した明るさを持つ。スリー・サウンズが名門ブルーノートに多くのアルバムを残しながらも日本で評価が低いのは、音楽芸術としてのシリアスさをジャズに求めたファンが多かったことによるものだろう。楽しいばかりがジャズではないが、楽しいのもまたジャズである。

 「Trio Plus One」の One はこれまたソウルフルでファンキーなスタンリー・タレンタインで実に楽しい。ジャケットのハリスのような笑顔につられて聴き手のこちらも笑顔になる。正月だけではなく年中、顔施で過ごしたものだ。
コメント (23)
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