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デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

ヴィレッジ・ヴァンガード

2007-01-14 08:34:01 | Weblog
 全国にフランチャイズ展開している書店「ヴィレッジ・ヴァンガード」が昨年、当地にオープンした。サブカルチャー系の本をはじめCD、レコード、玩具、あらゆるグッズが空間を埋めている。設立者の菊地敬一さんはジャズが好きで、店名はアメリカのジャズクラブに由来し、店名のロゴはソニー・クラークの「クール・ストラッティン」に倣っている。ジャズファンなら一度は訪れてみたい本屋だ。菊地さんが道東出身ということもあり陰ながら応援している。

 数々の名演を生んだジャズクラブ「ヴィレッジ・ヴァンガード」は35年にオープンした。オーナーのマックス・ゴードンは、彼が声を掛ければ大物ジャズメンも出演したという顔役で、自伝的な著書「ライブ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」にはジャズ界の裏話が書かれていて興味深い。みんなが休む月曜日もオープンし、多くのジャズメンに演奏の機会を与えた功績は大きい。サド・ジョーンズとメル・ルイスの双頭バンドを誕生させたのもゴードンのアイデアによる。多くのジャズクラブが閉鎖される中、長きに亘って経営を存続できたのはジャズを愛し、プレイヤーを信頼し、ユダヤ商法的経営手腕によるものだろう。

 ゴードンお気に入りのソニー・ロリンズやビル・エヴァンスのヴァンガード・ライブ盤は名盤の呼び声が高いが、ジュニア・マンスのライブ盤も見逃せない一枚だ。ファンキーでソウルフルなピアノと形容されるマンスだが、初めて耳にしたとき感じたのは黒っぽさだった。ダラー・ブランドやホーレス・パーランも黒っぽいピアノだが、ブランドの黒さはアフリカ的であり、パーランはゴスペル、そしてマンスはブルースの黒さだと思う。ライブならではの乗りのいいブルースで自然に体が揺れたとき少しばかり黒っぽい感覚に近づいたような気がした。

 子どもの頃、お菓子やオモチャが所狭しと並ぶ駄菓子屋は、少ない小遣いで楽しめる夢宇宙であった。そんな夢空間を見るような書店「ヴィレッジ・ヴァンガード」で忘れかけていた童心を探すのも楽しい。菊地さんの著書のタイトルは、「ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を」だ。
コメント (16)
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