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「ヴェラ・ドレイク」

2006-06-10 21:27:49 | 映画・DVD【あ】
映画を観ていて、この人の顔を見つけると妙に嬉しくなります。
イメルダ・スタウントン。
なんとも憎めない、人のよさそうな顔が好きです。
最近観た映画では「ナニー・マクフィーの魔法のステッキ」に出ていました。
彼女は1956年生まれだそうですが、そのわりには老けて見える気がしないでもないですね。



そのイメルダ・スタウントンがこの映画の主役です。


【ストーリー】

1950年、イギリス。ヴェラ・ドレイク(イメルダ・スタウントン)は労働者階級の人々が暮す界隈で、愛する家族とともに暮していた。いつも笑顔を絶やさず、老いた母親の面倒を見たり、困っている人達の世話を自ら進んでする優しい女性だ。だが彼女には誰にも言えない秘密があった。望まない妊娠をした女性たちを助けるために、堕胎の処置を施していたのだ。


ヴェラが夕食に誘った一人暮らしの青年レジーが、娘のエセルと婚約をすることになります。
幸せの真っ只中にいるドレイク家。
しかし弟夫婦も駆けつけた、祝賀の席に警察が訪れたことから事態は一転します。
堕胎した女性の容態が急変し病院に運ばれたことから、ヴェラの違法行為が明るみにでたのでした。
それまで幸せそうに笑っていたヴェラの表情が一変し、凍りつきます。

「堕胎は許されない行為なのか?」
それは、人によって意見もさまざまでしょうが、この時代のイギリスでは、中絶は法律上禁止されていました。
その後、母体の命に関わる場合のみ合法となったようですが、医師による手術はあまりにも高額で、貧しい人達には到底払うことが出来なかったのです。そんな人々を助けるために、ヴェラは善意から、しかも無償で堕胎を施していたのでした。



連行された妻に戸惑いを覚えながらも、支えようとする夫のスタン(フィル・デイヴィス)の姿に胸を打たれました。
母を犯罪者よばわりす息子をなだめさとし、家族がばらばらにならないように、家族の絆をしっかり結び直そうとするのです。
彼は妻の優しさがこのような結果をまねいたことを重々承知していたのですね。

ヴェラは結局、2年6ヶ月の禁固刑という厳しい判決を下されますが、家族は彼女の帰りをじっと待ちます。
物語の初めに、家族でテーブルを囲む場面があるのですが、にぎやかで微笑ましいシーンでした。なのに彼女のいない食卓は寒々としていて会話もありません。
ヴェラがこの一家にとって太陽のような存在だったことがよくわかります。
ヴェラが帰ってきた時、また以前のような素敵な家庭に戻れるように願ってやみませんでした。

監督は「秘密と嘘」のマイク・リー。
「秘密と嘘」の時も「家族」がテーマでしたが、私はどちらかというと「秘密と嘘」の方が好きですね。とっても自然な映画だったので。
「ヴェラ・ドレイク」では、連行されてからのイメルダ・スタウントンの演技がちょっとしつこかったような気がするのです。
逮捕されたら、不安や罪悪感やパニックなどから泣きたくもなるのでしょうが、眉間に皺をよせた悲痛な表情がわざとらしく感じたりして。
やっぱりイメルダ・スタウントンには笑顔が似合うような気がしますね。
コメント (8)
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