明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



40年前、架空のジャズ、ブルースミュージシャンによる初個展だったが、人間は実際はこうでなくても、私がそう思い込んだ理由があるだろう。本当のことを知ってしまうと、私らしい作品が作れなくなる、そう本気で信じていた独学我流者の私は、資料など見ようとせず頑なであった。しかし実在した作家を作ることになり写真資料を参考に数十年、子供の頃からの写生嫌い、デッサンもろくすっぽやったことがなかった私にとって勉強の期間となった。 多くは明治生まれ、中には幕末なんて人もいる。写真資料の朧げな陰影、濃淡、印刷の網点の中から、立体感を読み取らなくてはならない。特異な訓練となった。中には私を騙そうと、わし鼻を真っ直ぐに写真師に修正させた夏目漱石なんて人物もいる。胃を病むはずである。 木造校舎の小学校の図書室には、戦前の本まで残っていた。両親の昔の写真があるから私が生まれる前に世界が成立していたのは間違いないようである。しかし修正の跡も明らかな戦前のグラフ誌などを観ると嘘臭く。私の現世(うつし世)は夢気質に貢献していた気がするのである。

Don't Think, Feel! 寒山拾得展
人形作家・写真家 石塚公昭 作家活動40周年記念

10月13日(木)〜11月6日(日)

10月23日(日)ギャラリートーク東雅夫さん



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