明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



三島由紀夫の身長は“警察発表”によると、確か162センチだったと思うが、実際会った人の証言だと、もっと小さく感じたそうである。『薔薇刑』を撮影した細江英公ともなれば、工夫して撮影しているのが判るし、『からっ風野郎』(大映)撮影時に三島を散々虐めまくった監督の増村保造も、特に女優と並んだ場面ではアングルなど工夫している。そう思うと、底上げした靴を履いていたとはいえ、楯の会の入隊資格に身長制限をもうけ、自分より大きいのばかり集めたのはどういう心境なのか。奥さんの条件には自分より背の低いことを入れていたが。 三島像を制作する時、撮影など後々のことは後で考えるとして、できるだけ正確なバランスで作ったつもりだが、写真作品ともなると、なにしろ私は三島自身にウケることを想定しながら制作しているし、背景に配してみると、事実はさておき、格好良くバランスを案配することになる。 顔を正面を向かせながら、なおかつ背中の唐獅子牡丹を見せるため、唐獅子牡丹を大きく背景にしてみた。小さな背中によくぞ細かく描いてくれたものだが、大きくすればその繊細な雰囲気は失われてしまうので、いっそ迫力を重視してみた。画面に入れた唐獅子牡丹のタイトル文字は、小学四年が最終学歴の私の書道能力では無理、と知人から送ってもらったフリーフォントを加工して使ったが、昭和残侠伝の文字は、高倉健主演の東映ポスターの文字を手本に一晩かけて自分で書いた。 手にする刀は模造刀なれど、関の孫六“三本杉”であることはいうまでもない。気付いてくれなさそうなことは、こうしてここで自分でいう。


※8月31日まで谷中『全生庵』円朝旧蔵の幽霊画を公開中。それに伴い三遊亭円朝像を出品。
※深川江戸資料館11月まで九代目市川團十郎像を展示。

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