明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



docomoに行き、明らかに生き物に踏み潰された形跡のあるタブレットを修理に出した。「ウチのチビに踏まれまして」。そんなもんウチにいないけど。区役所からの書類が見当たらない時は、「認知症の母に捨てられてしまいまして」。もう3ヶ月ウチにいないけど。 その母より電話。ホームでは、周りは認知症の酷いのばかりで、このフロアで話しが通じるのは5、6人だ、といっている。毎日、何が盗られた盗まれたという騒動があるという。「聴こえるでしょ?」確かに何か騒いでいる。しかし母はこの程度のことには動じないので実に助かる。 ヨーカドーの文房具売り場で習字用筆と半紙を買う。来月出品予定の作品に筆文字を入れてみようと思ったのだが、書道といえば、託児所代わりに幼稚園児の時に習字塾に入れられ、最初にいろはのいの字を11と書いて以来、小学4年まで習った。それだけである。漢字5文字を書くのに朝までかかった。その中の“残”の字が特に難しく、時間の5割はかけたろう。 女郎蜘蛛の刺青を入れている女性から今の進行具合の画像が届いた。女郎蜘蛛は黄色い色が入ると俄然女郎蜘蛛らしくなる。谷崎の『刺青』の主人公のように背中一面ではないが面積が大きく迫力がある。 刺青の業界は社会的に圧迫されているようだが、業界内部の体質自体も旧臭く封建的なようである。そんなものぶっ壊してしまえ、といいたいが、私自身、もし先生や師匠がいたら、間違いなく師の影を踏まず、一生頭が上がらずに終わるタイプである。そう思うと独学者で良かった。だいたい博物館でも行けば、親から子へ、師匠から弟子へ伝わり、だんだん良くなって行くはずが、必ずしもそうなってはいないので、気にすることはない。ただしとてつもなく時間を要するので、ヘキだかタチだか、何らかの事情がないと独学の孤独に耐えることは難しいだろう。一生は案外短いみたいだし。

※8月31日まで谷中『全生庵』円朝旧蔵の幽霊画を公開中。それに伴い三遊亭円朝像を出品中。
※深川江戸資料館11月まで九代目市川團十郎像を展示。

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