明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



日本の七福神にあたるのが中国の八仙人だが、七福神はただノホホンと目出たいばかりで、仙人の怪奇性はない。鉄拐仙人は脚の悪い乞食の死体を借りて蘇るし、八仙人ではないが、蝦蟇蛙抱き抱える仙人もいる。仙人ではないが寒山拾得も同様に、爪は伸び放題、ボロを着て汚らしい。それは皆、超俗の境地を表しているところが肝心である。 母は幼い私に対し暗に“外の世界に興味がないという顔をしていてはいけない”と教えたのは、それでは世俗の世界を生き抜いていけない、という親心だったであろう。そしてあちら側の住民こそが、まさに寒山拾得や仙人達である。初めて買ってもらった大人向けの本、一休禅師を思い出し、唐突に作り始めたのも、正月に竹竿にしやれこべを掲げて京の町を歩く、子供の私を痺れさせた一休の超俗性であったろう。 私はここでこのモチーフを得て、すっかり子供の頃に戻った心持ちである。私の超俗世界の住民というモチーフの取り組みには、コロナ禍という状況が一役買っているのは間違いなく、いずれそれが判る時も来るだろう。



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