朝食もまだだったので、3時過ぎの中途半端な時間に腹が減る。本も読みたいので長居ができるサイゼリアへ。この辺りはこういう時に適当な喫茶店がない。ワインの500ml。一人飲みは、馬鹿々しい話に相槌を打たなくて良い所がなによりである。よって家で飲むとハイピッチで、肴とアルコールのシーソー状態で、あっという間に終わる。度数の高いものしか飲まず、氷どころか一切水などで割ることはない。薄めてしまっては、せっかくの酒の味わいが損なわれてしまうからである。といいたいところであるが、実はただ壜の始末が面倒だからである。よって数十年、一度も家で飲んだことがないのが壜ビールである。最初に私が目指したのは陶芸家であったが、こんな人間に良いものができるはずがない。陶芸の専門学校の卒業制作は二升徳利で、どっと注いでも飛沫が飛ばないようなぐい呑みを、とトイレの朝顔を観察したりして。品よく注げば良いだけの話で、まったくの馬鹿であった。 禁煙席。室生犀星晩年の、頻尿で苦しみ、なおかつ出ないという切ない話を読みながら通路を隔てた向いからは、40代後半独身と思しい女同士のいいたい放題が聴こえてくる。「社長がツイッターでしつこくてさ。あれで口説いてるつもりなんだから」「私達って強いじゃない。年上なんてもう絶対駄目よ」「男って可愛そうよねえー」(ねえーの部分ユニゾン) 気がついたらピッチがさらに早くなっている。まあこんな会話も、どういう二人か、によって違って聴こえるだろう。あえて書かないが、この連中に手玉に取られている男達というのが実在するとは到底思えない。 こちらからは、背中合わせの席の女子中学生二人が、勉強の手を止め時おり苦笑しあっているのが見える。 『今のうちに笑っておくが良い。このオバちゃん達も昔は君等みたいだったんだぜ。』 今日は室生犀星という日ではないな。と追加のグラスワインを飲み干し、蕎麦屋で蕎麦食べ退散す。
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