梅雨入りだが天気がいいので、門司駅北の大里宿を散歩する。街道沿いの宿の歴史を解説した記念碑を読んでいたら、地元の方70歳くらいの男性から声をかけられる。「歴史を勉強しているんかね」。「ああ、この町のことに興味があったので」と僕。僕と同じ名前の“永野脇本陣跡”の前でその方と親しく会話することになった。気さくな方である。「このあたりに最近グループで宿めぐりする人がふえてきたんよ。何か宿のガイドみたいな人が説明するんやけど、この町には地のことを知り尽したお年寄りがいるけん、その人たちに聞けばいいもんやけどね」。「代々、江戸時代からの末裔の人も何人か居るよ」。「ワシが子どもの頃、サッポロビール工場横には海岸砂浜近くまでビールの大麦がいっぱい植えてあつたよ。夏なんか、そこから海に行きよったけ」。「今じゃナントカ赤煉瓦プレイスとか町を作りかえよるけど、俺の町はこんな町じゃないもんね」と言う。「あんた、どこから来たんね」。「はい、馬寄から来ました」。「ああ、あそこは田舎やつたもんね。なんもなか、原野だったけん。鉄道学校やら門鉄官舎ができたけん人が増えた町。ここはその昔から町やけん」と、自慢する風に話す。なるほど、この町に住んでいる人の言葉だ。「俺はこの歳やけど、この町でまだ若い方よ。俺にこの町のことをを聞いてくれんね。俺、この町のこと知っとんけん」。ほんとうにこの町が好きだという人の言葉が次から次に出てくる。こんな方がもっと表に出て町の自慢話しをしてくれたら、ほんとうの活きた街づくりにつながると思う。えんえんとお話を聞いて帰りについた。
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