永野宏三のデザイン館&童画館  アート日和のできごと

イスラエル国立美術館、ミュンヘン国立応用美術館、国立国会図書館、武蔵野美術大学美術館図書館他に永野宏三の主な作品が収蔵。

デザインの時代。

2013-02-14 09:54:48 | アート・文化
デザイン書、いわゆるデザインに関する記録本やデザイン年鑑、デザインエッセイなど所蔵する本を整理していたら、数百冊もあった。古い本では45年前に発行されている“アイデア誌”“グラフィックデザイン誌”があった。当時はよく買ったものだ。そしてよく棄てないでいたものだ。
おなじく45年前に発行されたビートルズをテーマにして世界中のイラストレーターが描いた“ビートルズ・ライリック”(誠文堂新光発行)などは、結構値打ものだと思う。ポップ・アート全盛期の頃の本だから、ポップなイメージを放っている。
アメリカのイラストレーター・ミルトングレイザーを特集した“ミルトン・グレイザー”(誠文堂新光発行)は、当時、イラストレーターという職業が今程に確立されていなかった頃なので、この本には新鮮にぼくを刺激してくれた。
当時、ぼくは学生でデザイナーという職業に憧れていて、デザインやイラストのイロハを本から情報収集していたので、こういった本を買っていたのだろう。
“体験的デザイン史”(山名文夫著・ダヴィッド社発行)は、1976年に発行された本。日本のデザイン界の重鎮だった故山名文夫さんが書かれた戦前、戦中、戦後の日本グラフィックデザインの歴史を記録した本。文中には懐かしいデザイン団体・“日宣美”の記述や、今では他界された戦後日本のグラフィックデザイン界を牽引されてきた、グラフィックデザイナー諸氏の記述が出てくる。九州のデザイナーでは、西島伊三雄、松岡誠三、緒方たけ志、友枝翁太郎各氏の名前が出てくる。作家の松本清張氏がグラフィックデザイナーだった時代の頃の記述も出てくる。今では諸氏全て鬼門に入られている。個人的に西島伊三雄、緒方たけ志、友枝翁太郎各先生にはデザインを勉強している頃たいへんお世話になり指導していただいた。
今はデザインの統べてがコンピューターとインターネットを駆使した時代になっている。ものをしっかり考え、手技で表現していた時代は淘汰され、色・形がシステム化されマニュアル化された現代のデザインになってきている。それ以前、それ以後と時代を区分けして考えると、デザインの質がまったく違うような気がする。


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山名文夫著“体験的デザイン史”ダヴィッド社刊発行