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モスラ2 海底の大決戦

2014年09月18日 18時22分35秒 | 邦画1991~2000年

 ◇モスラ2 海底の大決戦(1997年 日本 100分)

 英題 Rebirth of Mothra II

 staff 企画・原案/田中友幸 監督/三好邦夫 特技監督/川北紘一 脚本/末谷真澄 撮影/関口芳則 美術/清水剛 衣裳/松山さと子 音楽/渡辺俊幸 オーケストレーション/沢田完 エンディングテーマ/Folder『NOW AND FOREVER』 挿入歌/小林恵、山口紗弥加『モスラの歌』作詞:由起こうじ、インドネシア語訳詞:大槻秀樹、作曲:古関裕而、編曲:渡辺俊幸

 cast 小林恵 山口紗弥加 羽野晶紀 満島ひかり 紺野美沙子 細川ふみえ 野波麻帆

 

 ◇特撮とボク、その60

 田中友幸の遺作である。

 それと満島ひかりの初主演作でもある。

 こうやってどこの世界も代替わりしていくんだろうけど、なんでか知らないけど、この平成のモスラシリーズはどことなく片隅に追いやられてるような印象がないでもない。この2ではニライカナイ文明とかいうムー大陸の亜流のような超古代文明が設定されているんだけど、往々にして、超古代の文明は自然や環境について現代社会よりもしっかり考えているわりに制御に失敗して滅んでる。その昔は核戦争とかがあったりしてみずからの文明を破壊してしまって滅んでる。まあそんなところではあるんだけど、怪獣映画の場合、その制御をあやまって破滅を実行をさせたものが驚異的な技術によって創生された怪獣ってことになる。

 海魔獣ダガーラがそうだ。

 このダガーラのデザインと造形はかなりいい。

 平成モスラの怪獣はほんとによく考えられてて、ぼくは贔屓にしてる。なんでゴジラのシリーズよりもちゃんとできてるんだろうっておもうし、なんでもっとファンがつかないんだろうともおもうんだけど、そこがゴジラとモスラの差ってやつなんだろうか。

 ただまあ、登場人物たちはきわめて典型的っていうか類型的っていうか、満島ひかりのことが好きなくせにいじめてて、どこでもくっついてくるデビとチビにいたってはもう頭を抱えちゃいそうになるし、満島ひかりの実家の民宿にとまってる得体の知れない小心者で憎めない心やさしい泥棒もまた溜め息をつきそうになっちゃうんだけど、そこはそれ、邦画の場合はどういうわけか大人目線の子供と悪人が設定されるもんだから、こうならないものはない。

 それと、ここでもそうかってばかりに、インディ・ジョーンズのシャンカーラが登場する。もういい加減にしてくれないかな~っておもうのはぼくだけじゃないような気がするんだけど、そうじゃないのかな。シャンカーラをレリーフの安置場所に置かないとピラミッドが破壊されちゃうみたいな設定は、もうちょいと飽きた。

 モスラが水中バージョンに変身するのはまあ仕方ないとしても、いったいモスラってなんなんだよっていう気にもなってくる。かつてモスラはインファント島の守り神だったはずで、それがいつのまにやら地球の守護神みたいな感じになってきて、妖精の王様なのか怪獣なのかよくわからない。ともかく人智を超えた何物かになっちゃってるわりには寿命があって、前作のように親が斃されて子供がそれを継ぐ。ふしぎな怪獣なんだけど、蛾っていうより蝶々みたいになってきて、あの6本足はちょいといただけない。

 まあ、それはそれとして、海の汚染と破壊について真正面から取り組もうとしている姿勢は評価に値するし、田中友幸という怪獣映画の海の親の遺作としては立派なものなんじゃないかっておもうんだけど、どうかしら?

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