Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

呪いの館 血を吸う眼

2014年09月08日 10時50分27秒 | 邦画1971~1980年

 ◇呪いの館 血を吸う眼(1971年 日本 81分)

 英題 Lake of Dracula

 staff 監督/山本迪夫 製作/田中文雄 脚本/小川英、武末勝 撮影/西垣六郎 美術/育野重一 衣裳/後藤信義 メイクアップ/高橋勝三 音楽/眞鍋理一郎

 cast 藤田みどり 高橋長英 江美早苗 岸田森 大滝秀治 桂木美加 立花房子 高品格

 

 ◇特撮とボク、その50

 当時、というのは1970年の前後のことだけど、恐怖映画が流行ってたような気がする。もっとも、その頃、ぼくは小学校の高学年から中学生くらいだったから、たしかなことはいえないんだけど、たぶん、流行ってた。怪獣映画ばかり見てたぼくが、友達と連れ立って恐怖映画を観に行ったのがこの時代だから、おそらく、そうだ。どれも怖かったっていう印象だけがある。東宝作品ではぼくの記憶はたったひとりの役者に凝固されてる。そう、岸田森だ。

 岸田森ほど、B級吸血鬼の似合う役者はいない。と、ぼくは今でもおもってる。『怪奇大作戦』でも妙に傾斜した科学捜査員を演じてたし、誰にも真似のできない異常な雰囲気を漂わせてた。その異常さを逆手にとったのが『傷だらけの天使』だったけど、それはさておき、東宝特撮映画に出てくる岸田森はともかく怖かった。牙をはやし、青白い肌をし、ヴァッと吐息まじりに叫ぶところなんざ、まじに怖かった。

 で、その岸田森が吸血鬼役をやってるのがこの作品とこの次の作品『血を吸う薔薇』だ。どちらがどうということはないけれど、好みからいえば、ぼくは実は後者だ。まあ、どちらもゴシック・ホラーていうジャンルに分類されるらしい。

 さて。この『血を吸う眼』は幼い頃のトラウマが大きな要素になってる。少女だった藤田みどりの網膜に、吸血鬼に血を吸われた蒼白な女性と口から鮮血を滴らせた岸田森が焼きついてて、その記憶が蘇ることにより、事件の鍵が幼い頃に過ごした能登半島にあるっていう展開になってる。

 ただ、問題は現時点における場所がどこかってことだ。これが特定されてないものだから、話がちょいとこんがらかってくる。湖があるみたいだから河口湖か山中湖あたりが想定されてて、高橋長英は三多摩あたりの病院に勤務してるってことになってるんだろうけど、これがはっきりしないものだから、能登半島って聞かされてもなんだか唐突な感じがするんだよね。

 ところで、江美早苗はとっても綺麗だ。桂木美加も立花房子も綺麗なんだけど、やっぱり江美早苗の人形のような美しさにはちょっと届かない。特徴がないといえばそうかもしれないし、アクの強さが足りないといわれればそうともいえるかもしれないんだけど、ぼくは好みだな~。

 ひとつおもったのは、この題名のつけ方の悪さかしらね。

『呪いの館』っていわれても館がどこの館なのかはっきりとしていなくて、たぶん、能登半島の館のことなんだろうけど、ほとんど舞台になってないし、その館に呪いがあるのかどうかってこともよくわからない。たしかに大滝秀治が岸田森の父親で、なんで自分の息子が吸血鬼になっちゃったのかって説明も足りないし、最後に足をひっぱって階段から突き落とすのはいいとしても日記を書いてた手が腐るくらい時間が経ってるはずなのになんで生きてたのという疑問は残るし、折れた手すりが杭になって胸を突き刺すっていう偶然で大団円になるのは都合よすぎるだろともおもう。そのあたりの肝心なところの展開がなんとも陳腐で、題名とそぐわない。

 それと『血を吸う眼』っていう語呂が悪くない?

 眼って「まなこ」って読むのかしら。だったら好いんだけど、もしも「め」って読ませるんならあまりにも日本語の題名としては弱いんだよね。まあ、ぼくとしては「ちをすう、まなこ」と読むことにしてる。怒られちゃうかしら?

コメント