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ゴジラvsデストロイア

2014年09月16日 13時04分32秒 | 邦画1991~2000年

 ◎ゴジラvsデストロイア(1995年 日本 103分)

 英題 Godzilla vs. Destoroyah

 staff 製作/田中友幸、富山省吾 監督/大河原孝夫 特技監督/川北紘一 脚本/大森一樹 撮影/関口芳則 美術/鈴木儀雄 ゴジラジュニア・デザイン/西川伸司、岡本英郎 デストロイア・デザイン/幼体・集合体・飛行体:吉田穣、完全体:岡本英郎 衣裳/斎藤育子 衣裳コーディネーター/出川淳子 音楽/伊福部昭

 cast 辰巳琢郎 石野陽子 林泰文 小高恵美 大沢さやか 村田雄浩 上田耕一 平泉成 藤巻潤 小野武彦 神山繁 河内桃子 高嶋政宏 中尾彬 篠田三郎

 

 ◎特撮とボク、その58

 ゴジラは、呉爾羅大明神だった過去はもはや片鱗すらない。

 それどころか、原子炉を搭載したサイボーグ怪獣と化したかにすらおもえるような設定は、いったいどんな思考からできあがるんだろう。文系とか理系とかいった差別化は好きじゃないけど、あえてそうするのなら、この物語は理系の脳味噌から生まれてきたとしかおもえない。体内にある核融合炉がメルトダウンをひきおこして大爆発するとかって、まじか?

 しかしどれだけ唖然としたところで仕方がないし、ゴジラと共に育ってきたようなぼくとしては観てそれなりの決着をつけないといけないとおもった。まあ、物語としては理解できる。微小体(クロール体)・幼体・集合体・飛行体・完全体へと変化成長していくデストロイアという怪獣の設定はおもしろいし、この怪獣の生まれた理由がオキシジェン・デストロイヤーによるものという設定もいい。かつてゴジラを斃した際に海底に眠っていた古生代の微小生命体が無酸素環境下で復活し、異常進化を遂げ、急速に巨大化したっていうんだけど、ゴジラと最終的な決着をつけるのはこのよく形のわからないオキシジェン・デストロイヤー怪獣しかないという発想もわかる。

 けど、それだったら、ゴジラジュニアとかいらないじゃん。

 とおもってしまうのも無理のないところなんだけど、3代目のゴジラを想定する上でどうしても必要だったんだろね。こういうあたりがなんとも未練がましい感じもある。けどまあ、できちゃってるんだから仕方がない。メルトダウンしてもはや自滅するしかなくなったゴジラはデストロイアと刺し違えるようにして斃れるんだけど、その際、高濃度の放射能が撒き散らされ、デストロイアによって斃されていたゴジラジュニアにもそれが降りかかり、すでにゴジラのエネルギーを大量に預けられて、かつ天然のウランを浴びてほぼゴジラ化していたジュニアは、ついに放射能の灰の中に立ち上がり、ゴジラとして完全な復活を告げるわけで、これはこれでシリーズを存続させる上ではどうしようもない話だ。

 ちょっとだけ勘弁してよっておもうのは、予告編から本編にいたるまでナレーションも役者の台詞もずいぶんな割合で、デストロイアとはいわずにデストロイヤーといっていることだ。発声がしっかりしていないわけで、ちゃんとしなくちゃダメじゃんね。これは、あきらかな文句だ。

 ただ、この物語は完全に初代ゴジラの初登場した『ゴジラ』から続いている世界で、なんといっても河内桃子の登場にはある種の感動すらおぼえる。この作品を最後にシリーズの製作をおりた田中友幸もそうだけど、伊福部昭のゴジラシリーズ最後となった音楽の気合の入れようたるや、凄い。

 まあ、そんなこんなから観ていくと、総じてぼくはこの作品はそれなりの終止符を打つものだったとおもうわ。

 結局、復活することは自明なんだけどね。

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