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メカゴジラの逆襲

2014年09月06日 11時28分39秒 | 邦画1971~1980年

 ◇メカゴジラの逆襲(1975年 日本 83分)

 英題 Terror of Mechagodzilla

 staff 監督/本多猪四郎 特技監督/中野昭慶 脚本/高山由紀子

     撮影/富岡素敬 美術/本多好文 音楽/伊福部昭

     メカゴジラ&チタノザウルス・デザイン/井口昭彦

 cast 藍とも子 平田昭彦 佐原健二 中丸忠雄 睦五郎 大門正明 麻里とも恵(阿川泰子)

 

 ◇特撮とボク、その48

 本多猪四郎の最後の監督作品である。

 というのも、

 これ以降、いのさんは黒澤明の監督補佐となって、

 黒澤明の晩年の作品をささえていくことになるからだ。

 だからそれなりに気合を入れて観たんだけど、ね。

 まあ、つきつめた感想はできるだけ書かずにおこう。

 けど、ちょっとだけ。

 いちばんおもうのは、編集し過ぎなんじゃないかしらってことだ。

 83分という怪獣映画の宿命のような短さは、

 どうしても刈り込まないといけないんだけど、

 それにしても、

 モンタージュにすらならないような独立しちゃったカットが多発して、

 なんとも残念なことに目まぐるしい。

 藍とも子だけが妙に独立した感じにおもえるのはそのためかもしれないんだけど、

 ただ、彼女はふしぎな魅力があるから、それでカットが目立つってこともあるだろう。

 当時、藍とも子は『ウルトラマンレオ』のMAC隊員で、映画はこれがデビューだ。

 子供たちにとっては、なかなかどきゅんどきゅんくるお姉さんで、

 サイボーグ手術を施されるとき、作り物とはいえおっぱいが見える。

 ゴジラのシリーズでは唯一無二の乳房カットで、

 これは、いかんです、子供にとって。

 ま、それは余談だからいいんだけど、

 この作品、あまりにもゴジラの登場場面が少ない。

 チタノザウルスと狂った化学者父子の葛藤が中心になってて、

 事件をおいかける側に悪役顔がそろってるもんだからなおさら平田昭彦が主役に見える。

 そういえば、佐原健二のあつかいがちょっと気になる。

 クレジットもなんだか大部屋並みの扱いで、

「これは、ないだろ」

 とおもっちゃうくらいだ。

 ゴジラの話に戻るんだけど、筋立てからするとゴジラは完全な脇役で、

 どんなふうに登場し、暴れ、撃たれ、去っていくのかっていう、

 肝心なところがなんともおざなりなあつかいをされてるんだよね。

 もしかしたら全編の中で10分程度の出演なんじゃないかって感じまでする。

 あ、それと、なんで見得を切るのかね?

 怪獣が見得を切るようになっちゃおしめえよって誰もいわなかったんだろか?

 いちばん悲しかったのは、子供が2人、いきなり登場してくることだ。

 なんの関係もないのになんだか出てきて、

 タツノオトシゴの親戚みたいなチタノザウルスに踏みつぶされそうになって、

「ゴジラ、助けて」

 とかいうと、ゴジラが突進してきて庇ってくれたりするんだけど、

 この脈絡のないカットの挿入は、当時の子供に迎合しているのがありありで、

 もう観ていて溜め息がおもわず出ちゃうくらいに悲しい。

 そういう一連のことにくらべて、音楽はさすがにたいしたものだ。

 ひさびさの伊福部昭で、ぼくらの魂をゆさぶってはくれるんだけど、

 ただ、画面といまいち噛み合わない。

 予告編はそれなりに音と絵が合致して、かなり興奮する仕上がりなんだけどね。

 なんにせよ、

 これがいのさんの最後の監督作品ってのは、ちとさみしい。

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