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灯台守の恋

2014年09月28日 00時34分29秒 | 洋画2004年

 ☆灯台守の恋(2004年 フランス 104分)

 原題 L'equipier

 staff 監督/フィリップ・リオレ 撮影/パトリック・ブロシェ

    脚本/フィリップ・リオレ、エマニュエル・クールコル、クリスチャン・シニジェ

    衣装デザイン/ピエール・ビガー 音楽/ニコラ・ピオヴァーニ

 cast サンドリーヌ・ボネール フィリップ・トレトン エミリエ・デュケンヌ アンヌ・コンシニ

 

 ☆1963年、ブルターニュ、ウエッサン島

 亡くなった両親の家を売却するために訪れた辺境で、両親のかつての恋を知る話。

 とかって書いたら、なんともありきたりの物語に聞こえるが、骨太の恋愛劇だった。

 話はいたって簡単だ。

 アルジェリア戦争で左手の自由を失った帰還兵が、灯台守を志願して島へやってくる。

 しかし島の住民はケルトからわたってきた連中で恐ろしく閉鎖的だった。

 なかでも灯台守を仕切る親方は、元時計職人の帰還兵につらくあたり、

 荒れ狂う波の砕け散る岩の上に建てられているジュマン灯台でいろいろと苛める。

 けど、常に落ち着いた物腰で優しさを失わない帰還兵を親方は認めるようになり、

 ほかの連中が仲間はずれにするのをただひとり面倒を見てやるようになる。

 ところが、

 親方の妻はもともと島を出たがっていたのだが親方と結婚させられた不満を抱えていた。

 妻は缶詰工場で働いているが灯台守の仕事からこちらに回された帰還兵と恋仲になってしまう。

 帰還兵にしてみれば、

 たったひとりの味方の親方の妻に惚れ、村祭りの花火の下でまぐあってしまうのは罪悪だ。

 自分のことを慕ってくれている村娘の誘いもふりきり、やがて帰還兵は村を去る決意をする。

 で、時が流れ、島に残った親方夫婦にはひとりの娘が生まれていて、

 この両親が死んで家を売却するとき、

 実の父つまり帰還兵の著した『私の世界の果て』を読んで真実を知りながらも、

 父つまり親方はずっと自分を愛してくれていたと涙し、

 かつまた全自動になった灯台の記念館で実の父の遺品と、

 父母と実父が3人で撮った写真を見てふたたび涙するという実に定番の物語なんだけど、

 異様にカメラがいいんだな~。

 役者たちの役になりきった細かい演技も、ブルターニュの自然に溶け込むような滑らかさだし、

 なんといっても、サンドリーヌ・ボネールが際立って綺麗だ。

 こりゃあ、都会に憧れるだろうし、帰還兵と不倫しちゃっても文句はいえないよな~、

 てなことを不埒にもおもった。

 定番かもしれないけど、恋愛映画の佳作であることはまちがいないんじゃないかな。

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