かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠180(中国)

2016年06月15日 | 短歌一首鑑賞

  馬場あき子の旅の歌23(2009年11月)【紺】『葡萄唐草』(1985年刊)
      参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:T・H
      司会とまとめ:鹿取 未放


180 魯迅の時計止まりたるまま古びをり歴史とは少しずれし抒情に

      (レポート)
 今、先生方は上海の魯迅記念館を見学しておられる。そこには魯迅愛用の時計が展示されていた。(柱時計か、腕時計かは分からないが。)そしてその時計は古びた感じだった。「魯迅の時計止まりたるまま古びをり」とは、彼の思想信条が結局はその正当な意味において実現していない、ということを残念がっておられるのか。ここにいう「抒情」とは? (T・H)
  魯迅(1881~1936)中国の文学者・思想家。本名は周樹人。浙江省紹興の人。中国現代文学の初期を代表。日本に留学、帰国後、西洋や日本の近代文学・思想の翻訳紹介と創作活動を行い、文学活動の実質的な指導者となった。作品「狂人日記」「阿Q正伝」等。


     (当日意見)
★背景はあまり考えなくとも良い。(藤本)

      (まとめ)
一行が魯迅記念館を訪問したのは魯迅死後50年近く経ってからである。展示されている魯迅の時計も止まって古びている。この時計と魯迅の思想は「歴史」といっているのだから関連はあるが、あまり緊密に結びつけて鑑賞する必要もなかろう。魯迅が意図したようには中国は動いて来なかったが、そういう思想や政治とは離れて、目の前の時計は抒情的に存在しているというのではなかろうか。(鹿取)


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